インフルエンザが猛威を振るっている。今シーズンに流行しているのはA香港型で感染力が強く、予防接種を受けていてもワクチンの効果が出にくいという報道もある。
せっかくの年始休みに罹ってしまって、「寝正月」という人もいるだろう。初詣に行って感染し、これから発症する人も…。新年の「仕事始め」に間に合うだろうか。
「新型」と「季節型」では事情が異なる
大手企業の場合、従業員がインフルエンザに罹ってしまうと、学校保健安全法の出席停止期間に準じて、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」出勤できないところもあるようだ。
他の従業員への感染を防ぐために、会社は罹患者の出社を禁止できる――。そう思われているかもしれないが、実際には簡単なことではないらしい。社会保険労務士の野崎大輔氏によると、こういう事情のようだ。
「2009年に流行した新型インフルエンザは、感染予防法で都道府県知事の就業制限があるとされているので、会社が従業員に就業禁止を命じることができます。しかし季節性のインフルエンザは、同じような就業制限の対象とはなっていないのです」
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新型インフルの場合、会社は従業員に就業禁止を命じても、賃金や休業手当を支払う必要がない。新型に罹患した従業員は「自己の健康管理に不備により労務の提供を行う義務を果たせない」のであって、会社に責任がないからだ。
一方、就業制限のない季節性インフル患者の従業員が「オレには仕事があるんだ!」と主張した場合、出社を止められないことになりかねない。しかしそれでは、他の従業員への感染リスクもある。
そういう事態を避けるために、会社は就業規則には「病者の就業禁止」という規定を設け、どういう場合に会社が就業禁止するのかあらかじめ定めておけばよいという。ただし、何でもかんでも「就業禁止」とすることはできないので、規定の見直しには労基署や社労士などの専門家の相談を仰いだ方が安全だ。
会社は「有休消化」を強制できない
また、季節性インフルの従業員を会社が強制的に休ませると「会社都合の休業」となり、厳密には休ませた分の賃金や休業手当の支払いが必要になる。
「法律的には休業手当を払うことになりますが、金額は平均賃金の60%となり、従業員からすれば40%の減額となります。したがって、未消化の有休を使って休ませることが多いです。でも、有休を使う権利が従業員にあるので、『どうしても使いたくない』と言った場合、会社は強制できません」
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そこでこのような場合を想定して、時効で消滅した有休を積み立てておき、病気休暇として使えるようにしておく会社もあるようだ。
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