『コンプレックス・エイジ』を見て「子どもをエクスキューズにしたくない私」に気づく

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2013年12月19日 09:30  MAMApicks

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ちょっと前の話であるが、ネット上で『コンプレックス・エイジ』( http://www.moae.jp/comic/complexage )という漫画が話題になっていた。

第63回ちばてつや賞に入選した本作品の内容は、以下のようなもの。


「結婚生活2年目、34歳の佐和子は、職場に内緒で、ゴスロリの服を着る趣味があった。今まではその趣味を貫いてきたが、年齢を重ねるにつれ、以前のように服を楽しめていない自分に気が付き――。」
(「コンプレックス・エイジ」受賞短評のストーリー紹介より)

青春時代から続けている趣味を年齢を機にやめようかと悩む気持ち、またそれに対するなかなか断ち切れない想いが描かれた本作品には、「分かる」「泣ける」などの共感の声も寄せられる一方、「趣味の世界を理解していないのでは?」というような否定的な意見も多々見られた。ツイッターなどでの反応も大きく、まとめサイト各所では当作品に対する見解を窺い知ることができる。

さて、私自身も間もなく34歳になるので、この主人公とほぼ同年齢、興味深く読むことができた。年齢を機に何か趣味をやめたことはないけれど、出産したことによりやめてしまった、あるいは一時中断している趣味はいくつかある。

休日に習っていたクラシックバレエは、妊娠して以降は教室に通えていないし、海外旅行もスーツケースが荷物入れになっている状態。まだちょっと再開の目処も立たないが、次はいつできるかなあと機会を見計らってはいる。


そもそも女性にとって、就職・結婚・出産は、三大「趣味の世界から離れる」タイミングじゃないかと思っている。

強固な意志をもってすれば維持することは可能かもしれないが、この3つが大きくライフスタイルを変えることは否定できないだろう。いいとか悪いとかの次元ではなくて、それまでとは違う生活を余儀なくされるのは当然のことだ。

とは言っても子育てばかりの毎日で自分のことが何もできていない!と嘆いているわけではない。

映画も今年は劇場で8本見た。ライブにも3回足を運んだ。
これでも相当厳選した結果なのだけれど、0歳児を抱えている割にはだいぶ頑張った方じゃないかと思う。

ひとえに夫の協力と理解、またたびたび遊びに来ては、「たまには2人で出かけてきたら?」と娘の面倒を見てくれてた母のおかげである。

でも、外出するための「引継ぎ作業」に骨が折れるのは確かで、離乳食が始まるとそれは一層ハードになった。日頃、自分で抱え込んで共有していないせいでもあるのだけど、子どもの食事や生活習慣を、自分以外の誰かにそのまま再現してもらうのはなかなか難しい。

離乳食も、「これ食べさせといて!」では済まないので、作り置きしていた食材をあらかじめ解凍しておいて、器に盛る。食べさせるときにもう一度レンジで温めるだけでいい状態にしておく。帰宅してからの大人の食事も、帰ってきてから作る、ではバタバタしそうだから、前日のうちにある程度仕込んでおいて、当日は火を入れ直すだけでいいものを用意しておく。たかだが数時間外出するのに、相当用意周到にならざるを得ない。


時間も、とにかく逆算してばっかり。
約束の時間は○時、じゃあ家を出るのは△時、出る直前に授乳しておきたいよね、なら自分の支度は×時までに……。

あれ?ってことは何時に起きればいい? 夜中の授乳時には時計を確認し、予定の起床時間までもう少し寝られるかな……と再度眠りにつく。楽しみな趣味の時間のためなのに、時間の制約が予想以上に不安材料になり出したのだ。

それでもなお、「映画が見たい」「ライブに行きたい」という気持ちが大きくて、何とか乗り越えてきたけど、この「引継ぎ作業」が面倒くさくて、もう外出したり趣味に費やすのはいいや、と消極的になってしまう人も少なくないのではないだろうか。その気持ちもやはり分からなくはない。

会社勤めしていた頃も、有給を取得する際の引継ぎ作業は結構面倒だったもんな……。
また、どうにかして自分の時間を作ろうとしたのは単純に映画が見たい、ライブが見たい、
という気持ちもあったけど「子どもができたから○○できなくなった」とは言いたくない、という想いがものすごく強かった。

子どもをエクスキューズにすること自体がカッコ悪いと感じたし、何より子どもの立場からしたら、「自分のせいで○○できなかったんだ」なんて言われたらたまったもんじゃない。どうせなら、「子どもができて自由な時間は減ってしまったけど、ここまでできたよ!」と胸を張って言いたかったのだ。

別に誰に向けたメッセージでもないのだけれど、自分の時間がなくなる、趣味を継続することが難しくなることから派生する、妊娠・出産に対するネガティブな印象を払拭したいと思っていた。もちろん私ひとりが頑張ったところで、何かが大きく変わるわけではないけれど。


つい最近のこと、夫が「Amazonで今安くなっているからどう?」と『オズの魔法使い』のブルーレイディスクを購入してくれた。娘がもう少し大きくなったら一緒に見られそうだし、というのがきっかけだったのだけれど、私も幼少期に観た以来で、久しぶりに鑑賞すると、ブルーレイというのもあって鮮やかな色彩やポップな映像に魅せられた。

ああ、これ小さいとき観て感動したなあ!と思い出すと、他にも「娘と一緒に観たい映画」が続々と思い浮かび出した。

毎週末映画館に通うような生活が遠くなってしまったのはもうどうしようもないことなのだ、それは分かっていたことなのだから他の方法で折り合いをつけていけばいい。

であれば、もう少し娘が大きくなって一緒に楽しめる頃に備えて、少しずつDVDのコレクションを増やしていこうという方向に。自分ひとりで趣味を楽しむ時間は減っていっても、子どもと一緒に楽しむという可能性はこれから未知数だ。

楽しめたらそれは喜ばしいマインドシフトだし、うまくくいかなかったら、また違う楽しみ方をその時考えよう! 子どもがきっかけで今まで観なかったようなジャンルに手が伸びるようなことがあっても面白いかもしれないし。

音楽に関しても趣味が変わったということはないけれど、娘と一緒に見ているせいで、NHK Eテレの『いないいないばあっ!』や『おかあさんといっしょ』で流れている曲を口ずさむことが増えて、そんな自分が想像できなかっただけにちょっと面白い。

自分自身のための本を読む余裕は今はちょっとないけれど、どんな絵本を読んであげたらいいかな〜、とAmazonを巡回するのもこれまた楽しい。

そうこうしていると欲しいDVD、絵本がどんどん増えてきて、Amazonの「ほしい物リスト」が山積みに。これはこれで経済的な課題が浮上。くれぐれもご利用は計画的に!!

真貝 友香(しんがい ゆか)
ソフトウェア開発職、携帯向け音楽配信事業にて社内SEを経験した後、マーケティング業務に従事。高校生からOLまで女性をターゲットにしたリサーチをメインに調査・分析業務を行う。現在は夫・2012年12月生まれの娘と都内在住。

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