立ち会い出産が基本のアメリカ、意識はつねに「パートナーとともに」

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2014年03月27日 09:30  MAMApicks

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出産予定日の数ヵ月前、かかりつけの産科のある病院で開催された出産準備教室に、夫とふたりで参加した。

その教室ではカップル約10組とともに、出産のビデオを見たり、呼吸法を練習したり(妊婦だけでなくパートナーも)、女性の陣痛を和らげるマッサージの方法をパートナーが習ったり、片手に氷のかけらをギュッと握って痛みに意識を集中させない練習(="Ice Cube Exercise")をカップルでやったりと、チームワークを前提とした構成になっている。

「立ち会ったのに、まったく使い物にならなかったパートナーの場合」など、笑えるエピソードやジョークを取り入れてはいるが、「本当に何が起こるかわからないからこそ準備は大切。母子の安全が最優先」と、繰り返しアドバイスを受けた。

そして、入院〜出産・退院までの時間を過ごす個室、「バース・スイート(="birth suite")」も参加者全員で見学。アメリカでは陣痛が始まってすぐに入院するわけではなく、一定間隔になってから来てくださいと言われるが、その上、よほど産後の状態に問題がなければ、基本的に翌日退院、帝王切開でも翌々日退院、というスピードだ。

そんなふうに、短かければ一日しかいないスイートだが、ホテルのようにファンシーではないにしても、妊婦のベッド、立ち会う人が仮眠する備え付けのベッド、ジャグジーのような泡の出るお風呂にシャワー、ゆり椅子や普通の椅子数脚、トイレ、洗面台、新生児のバシネット(乳児用ベッド)、小型冷蔵庫、テレビ、ステレオなどが備え付けられ、数人の大人が余裕を持って動き回れるスペースがあり、窓からは中庭も見えた。

「僕が寝るのはここか?」「私がいきんでる横で寝るつもり?」
「ここにビデオカメラを置いて撮影しよう」「いいわね!」
といった会話が、それぞれのカップルの間で交わされたりして、出産がより現実的になってくる。

その後に参加した母乳育児教室は、女性だけの姿も目立ったが、「母乳を哺乳瓶に入れれば、パートナーだって新生児に母乳をあげることができる」「母親だけでなく、パートナーもどんどんやってみましょう」と、ここでも「パートナーも一緒に」という考えがベースとなっていた。


アメリカで約20年にわたり出産に立ち会ってきた、看護博士でナースプラクティショナー、助産婦の押尾祥子先生によると、同地の出産準備教室は夫婦やカップルで行くのが当たり前で、「妊婦検診も、半数ぐらいの人が毎回ご主人と一緒に来ます。一度もご主人が検診についてこないカップルはまれ」という。

そして、「アメリカでは圧倒的に立ち会い出産が多い」のはやはり事実だそう。
「夫婦であれば夫。未婚の人も、赤ちゃんの父親か、その後にできたボーイフレンドか、友だちか、母親が立ち会っている場合がほとんどです。女性の同性カップルの場合は、当然相手の女性が付き添ってきます。女性だけあって、男性のパートナーには考えられないほど、細かいところまでサポートしています」。

たとえばネットで"childbirth husband" などのキーワードで検索してみると、「夫が素晴らしかった」「夫が想像以上にアシストしてくれた」といった体験談から「夫が失神した」「夫が泣いて使い物にならなかった」といった体験談がポストされている。

たしかに出産準備教室に行ったからといって、全員が出産の時に妊婦が望むすばらしいサポートをできるわけではない。とはいえ、出産の主役は赤ちゃん。主役が無事に生まれてくるよう、パートナーができるだけのことをしてあげたい、という気持ちが大切だろうと思う。

大野 拓未
アメリカの大学・大学院を卒業し、自転車業界でOEM営業を経験した後、シアトルの良さをもっと日本人に伝えたくて起業。シアトル初の日本語情報サイト『Junglecity.com』を運営し、取材コーディネート、リサーチ、ウェブサイト構築などを行う。家族は夫と2010年生まれの息子。

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  • 3人共立ち会った。長男次男の臍の緒もカットしたし。長男は初体験でフラフラ。次男は車で奈良へ急ぎヘトヘト…三男は呼吸障害でドキドキ�Хåɡʲ�������血の気は引いて足はガクガクだった
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