次年度を先取り!? Eテレ夏の特別番組鑑賞記

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2014年08月21日 10:01  MAMApicks

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8月も後半になってまいりましたが、残暑厳しい折、読者のみなさまはいかがお過ごしでしょうか。

さて、毎年8月になると、NHK・Eテレ(以下、Eテレ)では、試験的に次年度放送予定の番組などを単発で放送することがあります。これを「パイロット版」と呼んだりしますが、今年も数本パイロット版と思われる特別番組が放送されておりました。

今日はその中から3本ピックアップして、「これから始まる(かもしれない)番組レビュー」をお届けしたいと思います。


■ガッツ節全開!本田翼の新境地? 『Q〜こどものための哲学〜』
参考URL:http://www.nhk.or.jp/school-blog/300/193989.html

「しんきんぐ、でーぷりー。ひとつのことを、ふか〜く考えるってこと」
なんとも言えない、ガッツ石松独特のナレーションからスタートするこちらの番組。

主人公の男の子“Qくん”と、ぬいぐるみのチッチ(ともに人形)が登場人物。
「大きな鼻くそがとれてうれしいのはなぜか?」
「お母さんにもらったカバンが壊れて、悲しいのはなぜか?」
なぜQくんがそう思ったのかを、チッチが時間を巻き戻し、思考をさかのぼって見せるという構成です。

Qくんの声を担当するのはモデル・タレントの本田翼。
彼女、意外と少年役が向いているかもしれませんね。ちょっとやんちゃな男の子の声を違和感なく演じていました。

そして、かわいい姿なのに完全に中身がおっさんという、チッチ役のガッツ石松。
「ガッツ石松がツッコミ役」というのもなかなかの衝撃ではありますが、大人という視点でQくんの思考の経過を見つめている(ただしその声はQくんには届いていない)、親戚のおじさんのような、先生のような存在が、番組全体をきゅっと締めていました。

ディレクターは同じくEテレの『デザインあ』や『ノージーのひらめき工房』なども手がける佐藤正和氏、美術デザインはtupera tuperaが担当しているとのこと。

Qくんの結論は、「なぜそうなる?」と言わずにいられない子ども特有のしょーもない感じではあるのですが、映像や音楽がスタイリッシュで、全体を見たときに不思議な感覚を味わえます。

“ひとつのことをじっくり深く考える”というのは、常識にとらわれる前の子どもたちであれば、自由に想像ができるはずのところ、つい大人が「なんで?」の質問に答えるのを面倒くさがってしまったり、時間がないからとさえぎってしまうことが、自分を振り返っても正直なところ、あります。

番組を見ながら子どもと一緒にマインドマップのようなものを描いてみたり、自分の思考パターンについて改めて考えてみるというのもよいのではないでしょうか。

■ダメサイボーグの成長日記 『はりきり体育ノ介』
参考URL:http://www.nhk.or.jp/taiiku/harikiri/

こちらは10月からレギュラー放送が決まっており、3月に一度放送されたパイロット版の再放送でした。

その名も博士博士(はくし・ひろし)という博士によって開発された超人サイボーグ「体育ノ介」。しかし彼には決定的な欠点があったのです。それは、博士が「体育の力」を入れ忘れてしまったこと……。

そこで体育ノ介に体育の力をプログラミングするために、さまざまな運動に挑戦させる ──というのが大枠のストーリー。映像クリエイターユニット、「TheBERICH(ビリッチ)」によるアニメーションパートと、実写パートで描かれていきます。

実写パートでは。元体操選手でアテネ五輪団体総合金メダルの一員、冨田洋之選手が華麗な逆上がりを披露。その「お手本データ」をダウンロードし、体育ノ介にインストールします。

また、「ICT体育授業」をうたっているだけあり、小学生たちがお互いの逆上がりする姿をタブレットで撮影し、確認しあうという場面も。
最近の体育の授業はこんなことになっているのですね……。

結局成人するまでに一度も自力で逆上がりができなかった筆者でありますが、今の時代だったら何とかなったかも?

ちなみに10月からの今年度の放送は全10回を予定しており、鉄棒、跳び箱、マット、陸上、ボール運動がラインナップされております。(体操系はすべて冨田洋之氏が出演予定)

サイボーグが主人公だからなのか、BGMにハービー・ハンコック『Rock It』、Kraftwerk『Numbers』、YMO『TIGHTEN UP』と、エレクトロやテクノのクラシックナンバーが使われていましたが、今後、YMOの『体操』も使われることがあるのかなあ、と予想してみます。

■創作ダンスに悩んだら 『ダン!ダン!ダンス! TEMPURA KIDZとおどっちゃお』
参考URL:http://tempurakidz.tv/

通常であれば『Eダンス☆アカデミー シーズン2』が放送されている枠でのオンエアとなったこちらの番組。

きゃりーぱみゅぱみゅのバックダンサー出身の5人組、原宿系ティーンズパフォーマンスユニット「TEMPURA KIDZ」が、ダンスが中学から必修科目となる現小学生以上を対象にした、新感覚の体感型ダンスレッスン番組ということで、さっそく番組を拝見。

ダンスの監修は、きゃりーぱみゅぱみゅの振り付けを担当し、Eテレでは『みいつけた!』でオンエアされている曲『ふたりはさかさま』で、スイちゃんが踊る難解なあのダンスを担当している、まいこ先生。

“天の声”との掛け合いや、TEMPURA KIDZのジャケットでもおなじみ、シャシャミン(『すすめ!キッチン戦隊クックルン』なども担当)のイラストがアニメ化されていたりと、彼女たちのファンには馴染みのある座組だったのではないでしょうか。

童謡にあわせて振りをつけたり、学校のチャイムやキャベツの千切りなどの生活音で踊ったり、「手振り」「ポージング」「ステップ」「コンビネーション」の4つのポイントを押さえながら、最終的にひとつのダンスを仕上げていくという流れは、中学校学習指導要領・ダンスの項にある「創作ダンス」「フォークダンス」「現代的なリズムのダンス」という3項目のうち、「創作ダンス」に特化した内容と思われました。

『Eダンス☆アカデミー』が「現代的なリズムのダンス」にあたるヒップホップをベースとし、ステップや曲の振り付けを覚え、ダンスで表現することを学んでいくのに対し、こちらの「ダン!ダン!ダンス!」は学校の授業の場で創作ダンスの振りを考えるという“実戦での即戦力育成”を視野に入れている印象を受けます。

ちなみに、番組を見ていた息子(もうすぐ4歳・ダンスが好き)のリアクションはいまひとつ。意外な反応だったので考えてみましたが、おそらく「彼の踊りたいダンス」とは別のものだったのかもしれません。

人間の性差云々はさておき、ダンスに関してはどうしても“女性的な動き”と“男性的な動き”があり、今回の場合メンバーのほとんどが女性、ダンスの監修も女性ということで、腰の動きや手振りなど、いわゆる“女性的なダンス”というのは否めません。
(ちなみに帽子をかぶっているメンバーの「P→★」は男性)

同じステップの「ランニングマン」ひとつをとっても、EXILEとTEMPURA KIDZでこんなに違うのかと感心するほど別のスタイルだったわけですが、おそらくそこは好みが出るのではないかと思われます。

もしこの番組がレギュラー化されるとなったら、1シーズンにどちらかだけと言わず、何とか隔週でもいいので『Eダンス☆アカデミー』と『ダン!ダン!ダンス!』両方を同時に放送するすべはないものでしょうか。

一Eテレファンとして、来年春の編成表に期待しております!

ワシノ ミカ
1976年東京生まれ、都立北園高校出身。19歳の時にインディーズブランドを立ち上げ、以降フリーのデザイナーに。並行してWEBデザイナーとしてテレビ局等に勤務、2010年に長男を出産後は電子書籍サイトのデザイン業務を経て現在はWEBディレクター職。

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