産後ひさびさの夜のお酒でやらかしてしまった話

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2014年10月23日 10:01  MAMApicks

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久しぶりにお酒で失敗してしまった。

先日、友人と夜、食事に出かけた。
子連れで出かけるときも、子どもの面倒を見てもらうときでも、基本的に外出するのは日中で、友だちと夜に会う約束をしたのは約1年ぶりのことだった。


ここのところ、うわ言のように「夜飲みに行きたい」「家出したい」とブツブツ言っていた筆者。
夫は毎日帰宅が遅く、娘は夜7時代に就寝してしまう。私はその後、自分の食事をとり、洗い物をして、仕事に取りかかる。しばらく集中して仕事に取り組み、さて休憩、とSNSをのぞくと、誰かしらが飲み会やディナーの写真をアップしている。
楽しそうで、華やかで、キラキラして見えた。

娘のことはすごく可愛い。誰よりも大切な存在だ。
だけど、この子のお世話をしている間は得られないものもあるのだなあ、と実感すると胸が痛かった。娘がいなかった時代に戻りたいわけではない。だけどやっぱり溜息が出た。

この気持ちをボヤいたら自分に矢が飛んでくるのは分かっている。
「だったらSNSなんて見なきゃいいんだよ」
「だったら子どもなんて産まなきゃよかったんだよ」
直接誰かが言ってくるわけではないが、言われる可能性がゼロではないということで。

そんな「飲みに行きたいなあ」という心の声を察してくれた友人と夜出かける約束を取り付けたときはもうウキウキだった。毎日「あと何日あと何日」とカレンダーに記した予定を眺めた。

当日も娘と夫の夕食を作っておき、「ではお風呂と寝かしつけよろしくね」と喜び勇んで出かけていった。ひとりで休日に映画を見に行ったり出かけることは増えてきたけど、夜出かける解放感と身軽さはまったく別物で、快く送り出してくれた夫にも感謝の気持ちでいっぱいだった。

……だけど、やらかしてしまった。
しばらく飲みの席に出ていなかったから、自分がどれくらい飲めるのかが分からなかったのかもしれない。夜中まで仕事をする日々が続いていたから、疲労が溜まっていたのかもしれない。美味しいものを食べるぞ!と意気込んで、空きっ腹に一杯やってしまったのが効いてしまったのかもしれない。

友人と数時間、食事とお酒を楽しみ、幸せな気持ちで帰りの電車に乗ったら、何だか目の前がグラグラした。ちょっとこれはまずいかも、と途中下車し、ホームの柱に寄りかかると、そのまま座り込んでしまった。

知らない誰かがお水を買ってきてくれたような気がする。だけどもうよく分からないまま、気付いたら救急車に乗っていて、気付いたら病院で点滴が刺さっていて、気付いたら夫が娘を抱っこして横に座っていた。

起きたときには気分が悪いのはすっかり治っていて、点滴を終えて、タクシーで帰宅したのは朝4時だった。車中で寝てしまった娘を布団におろし、私も着替えてすぐ眠りについた。

翌朝、夫からは説教をされるわけではなく、冷静に諭された。
飲みに行くななんて言う気はないが、帰れなくなるまで飲んではいけないだろう、独身の友達と立場が違うことももうちょっと理解したほうがいい、と。

何もかも正論で「はい、おっしゃる通りです」と首を縦に振ることしかできなかった。

「だから当分外で飲むのは禁止」と言い渡されてしまった。
それはさすがに……!と食い下がろうとしたが、ここは従うしかない気がした。子どもの面倒を任され、穏やかに夜を過ごそうとしたら、救急から電話がかかってきて、妻が搬送されたなんて聞いたら、ビックリどころではないだろう。

寝ている娘を連れてタクシーで駆けつけてきた夫の心情を思うと、すみませんを1万回言っても足りない。30代半ばにもなろうというのに、飲みすぎて帰れなくなるなんて恥ずかしいを通り越して情けないとしか言いようがない。
本当に反省しています……。

そして反省すると同時に、私は相当フラストレーションが溜まっていたのだなと気付いた。ちょっと飲みすぎてるかなと気付いていないわけではなかったのに、自制心がきかなかったのは、どこかで「酔っ払いたい、爆発させたい」という感情が働いていたのかもしれない。

さらに気付く、夫に言われた「立場が違う」という言葉。
ああ、私は母親だもんね、と当たり前の現実を目の前に突きつけられたのだった。

よく芸能人は子どもが誕生したとき、ブログなどで「親としての責任を感じ、これから益々気を引き締めていきたいです」なんて決意表明をする。

私はいつも、「子どもが生まれた瞬間に責任なんて感じるかなあ、大体責任ってどういう意味なんだろう」と疑問に思っていた。しかし、自分のやったことは軽率だな、責任というものを軽んじていたなと、「責任」という言葉の意味を逆の方向から知ることになるとは……。

やらかした日から1週間あまり、自宅でも飲むのをやめている。
十分に反省はしているつもりだけれど、まだまだ自分の中で消化しきれないものを抱えているので、ほとぼりが冷めるまではアルコールは控えるつもりでいる。
だからといってこのまま「もうお酒はやめます!」と言い切るほど心は強くない。

家でなら酔っ払ってもいいのかな、でもやっぱり外で飲むのが楽しいんだよな。昼間ならそんなにひどいことにならないのかな、でも夜飲みに行きたかったんだよな。

そんなことを考えていると、『西遊記』で孫悟空の頭を締め付ける金色の輪、「緊箍児(きんこじ)」がギュっと音を立てたような気がした。この経験を緊箍呪にしなさいってことですね、分かりました……。


お酒がわりにお茶を飲みながら、良い着地点を考える日々が続きそうである。

真貝 友香(しんがい ゆか)
ソフトウェア開発職、携帯向け音楽配信事業にて社内SEを経験した後、マーケティング業務に従事。高校生からOLまで女性をターゲットにしたリサーチをメインに調査・分析業務を行う。現在は夫・2012年12月生まれの娘と都内在住。

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