御社は大丈夫?「たかの友梨」に見る労働紛争の種

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2014年11月09日 15:10  JIJICO

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「たかの友梨」の従業員が損害賠償を求める訴訟


長時間の時間外労働を強いられながら残業代が支払われなかったとして、大手エステサロン「たかの友梨ビューティクリニック」の従業員が、同サロンの運営会社に対して、未払い賃金とマタニティハラスメントの損害賠償として合計約1015万円を求める訴訟を起こしました。


詳細としては、同店に勤務する女性社員が、残業代の一部未払い問題を労働基準監督署に申告し、その事実を知った社長の高野氏が、申告した従業員に対してパワハラ(マタハラ)ともとれる言動をとり、約2時間半にわたり非難したことが社会問題となりました。また、その後の対応でも誠意が感じられず、結局、従業員側との折り合いがつかないまま裁判にまで発展しました。


労使の争いが訴訟にまで及ぶと、風評被害による企業存続の危機に


ここ数年、ネット内でブラック企業のランク付けが行われたり、有名企業に対する未払い残業問題等のトラブルが増加したりと企業に対する世間の目が変わってきました。これは、メディアやネットの進化により労働者の情報収集が容易になったにもかかわらず、経営者側の労働者に対する意識が改善されていないことが影響していると考えられます。


特にエステサロンを含む美容業界などでは、労働関係の法律に対する認識が浸透していない業界と言っても過言ではなく、今後も労使間のトラブルが増えると予想されます。エステシャンやスタイリストは、一人前になるまで給与が安く、労働時間が長い、休日が少ないというような労働条件で働いている人が多く、「残業代の未払い」「マタニティハラスメント」「過労によるメンタルヘルス」等、経営者の努力不足による労働紛争の種となるような雇用環境が蔓延しています。


労使の争いが訴訟にまで及ぶと、今回のエステサロンのように毎日メディアで報道されることとなり、風評被害による企業存続の危機に陥るかもしれません。


御社は労働紛争が起こりやすい会社かも?


これは、大手企業や有名企業にかかわらず、労働者を雇用する全ての企業に当てはまることです。これからの時代は、法律を遵守しながら、いかに従業員のパフォーマンスを上げることができるかが企業の明暗を分けるのではないでしょうか。


御社は大丈夫ですか?トラブルが起こらないうちに自社の労働環境を見直してみてはいかがでしょう。


■労働紛争が起こりやすい会社のチェックポイント
・労働時間が長い(残業・休憩を除いて1日8時間を超えている)
・残業代の全部または一部を支払っていない
・残業代込みの基本給としているが、はっきりと明示したものがない
・毎月80時間以上の残業がある
・雇用契約書を作成したことがない
・休憩時間がほとんど取れない
・休日がとれない(1ヵ月に4日未満しかとれない ※法定休日は月4日以上)
・有給休暇は取らせたことがない(当社には有給はないと言っている)
・能力不足の社員はすぐにやめさせている(社員教育をしない)



(田中 靖浩・社会保険労務士)

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