夢ってなに？ 予知夢ってあるの？ 夢の専門家に聞いてみた

悪夢を見て夜中に飛び起きたり、素敵な夢をもう少し見たくてついつい寝過ごしたりと、夢って身近なもの。でも、改めて考えてみると分からないことが多いですよね。そこで、夢にまつわるさまざまな疑問を、長年夢について研究をしている医学博士の杉山弘道先生に聞いてみることに！

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■そもそも夢ってなんですか？

「脳の中には、記憶をしまっておく引き出しのような部位があり、夢はそこにある様々な記憶を繋ぎ合わせて作られたものです。そのため、夢は自分の記憶で作り上げられた空想と言えますね」（同）

　夢は自分の記憶から作り出されるものなんですね。


■動物は夢を見ますか？

「ほ乳類や鳥類といった、脳が発達している動物も人間と同じように夢を見ると言われていますが、実際に体験したことしか夢に見ないと考えられています。たとえば、犬や猫は人間ほど記憶力がないため、『ご飯を食べる』『散歩をする』『飼い主と遊ぶ』といった日常的な出来事が夢の中心になっていると考えられているんです。様々な記憶を繋ぎ合わせ、実際には体験していない非現実的な夢を見るのは人間だけとも言えますね」（同）

　動物は、雲の上を駆け回る…なんて空想のような夢は見ないんですね！


■夢にはカラーとモノクロがあるって本当ですか？

「夢は自分にとって印象の強い記憶から作られることが多いので、直前で見聞きしたことが影響している可能性が高いんです。例えば、白黒映画を見た直後であれば、白黒の夢を見るケースも十分に考えられます。ただ、夢を正確に覚えておくのはとても難しいため、『夢の色』をしっかりと思い出せる人は少ないんです。そのため、夢を思い出すときに『夢で見た電車の色は黄色だったはず』『あの女の人は白いワンピースを着ていたと思う』などと、自分が普段よく目にする色を勝手に割り当ててしまうことも少なくありません。だから、人によって夢はカラーであったり、白黒であったりするんですよ」（同）
　
　たしかに、“夢の色”まで覚えていることは少ないかも。次に夢を思い出すときは、色について意識してみてみると面白いかもしれません。


■知らない人が夢に出てくるのはなぜですか？

「夢に『知らない人が出てきた』と思ったとしても、その人がテレビを見ていて何気なく目に入った人や、街でたまたますれ違った人である可能性は高いですね。視界にさえ入っていれば脳には記憶されているので、夢に出てくる『知らないと思っている人』は、『自分の記憶の中には存在する人』、すなわち、会ったこと（見たこと）がある人なんですよ」（同）

　今まで気づかなかったけど、実は登場回数の多い隠れた名脇役もいるかもしれませんね！


■予知夢はありますか？

「『夢で見たことが現実になる』という予知夢も、夢である以上は私達の記憶が作り出すものなんです。例えば、親族が亡くなる夢を見て、それが現実になった場合。実際夢の中で亡くなったのが親族以外の人だったとしても、思い出すときに記憶をすり替えて親族と思い込んでいる可能性が高いんです。また、『知り合いの〇〇さんと会う夢を見て、翌日に本当に会った』という場合も、誰かと会う夢を見たことを、実際に〇〇さんに会ったときに『そういえば夢で〇〇さんに会った』と思い込んでいると考えられます。これは、夢を思い出そうとするときに、印象の強いものを当てはめてしまうことが多いからなんですよ」（同）

　へ〜！　これまで何度かそういう経験をして、「なにか特別な意味があるのかも！」なんて思っていたけど、後から気になる人を当てはめていただけなんですね。


■見たい夢を見ることはできますか？

「夢は、『脳内に蓄積されている記憶を材料にして作られるもの』とご説明しましたが、その日見る夢にどの記憶が使われるかは、自分でコントロールできません。そのため、『こんな夢が見たい！』と思っても、その夢を見るのは難しいんです。ただ、目覚めてすぐに夢の記録をノートやボイスレコーダーに残しておくと、夢のパターンが分かってきます。そうすることで、夢を見た日の心理状態や行動パターンなど『夢を見るための条件』が分かるようになるので、その条件と同じような状況を作ることができれば、自分で夢をコントロールすることも可能になるかもしれませんね」（同）

　夢ってすごく不思議なものだと思っていたけど、すべて自分の記憶から作られるものだったんですね。どんな記憶が自分の夢の『モト』か知りたい人や見たい夢がある人は、さっそく枕元にペンとノートを置いてみては？

（山本絵理/short cut）