経済産業省の“次世代エネルギー・社会システム実証地域”として、トヨタ自動車のお膝元、愛知県豊田市が選定されたことを受け、同市は2010年8月に『豊田市低炭素社会システム実証プロジェクト』を立ち上げた。
このプロジェクトでは生活圏・コミュニティ単位でのエネルギー利用の最適化を目指すと共に、交通システムにおいてCO2排出量“40%削減”に向けて取り組んでいる。
自動車会社と街が一体となって低炭素社会を目指す
豊田市では低炭素交通システムを担う交通機関としてFC(燃料電池)バスに着目、2011年にFCバスの開発を開始して2013年11月には実証試験運行をスタート。
トヨタ自動車と日野自動車がFCバス開発を担当しており、今年1月9日に豊田市に提供、同日より豊田市内を走る基幹バス『とよたおいでんバス』の営業運行を開始した。
このバスにはトヨタが昨年12月15日に発売した燃料電池車『MIRAI』向けの『TFCS(トヨタフューエルセルシステム)』を搭載。
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トヨタ『MIRAI』の燃料電池を2個搭載
バス用途として出力を高めるため、FCスタック(燃料電池)や駆動用モーターを2個搭載しているほか、高圧水素タンクを8本(総容量480L)搭載。
実証試験運行で得た知見を元に、外部電源供給(V2H:Vehicle to Home)システムにも改良が加えられており、非常時に備えて学校体育館の照明に必要な約5日分の電力を賄える性能を持たせている。
また、燃料となる水素の充填は『とよたエコフルタウン水素ステーション』を活用。運行区間は豊田市〜三河豊田駅前の間で3月末までの間、日に3往復している。
トヨタ・日野両社は今後のFCバス実用化に向け、今回の路線バスの営業運行を通して実用性を検証、ノウハウを蓄積していくとしている。