急増する「ガソリンスタンド難民」を救う2つのアプローチ

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2015年02月13日 17:30  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

経済産業省資源エネルギー庁の調査によると、ガソリンスタンドが地域内に3箇所以下の自治体が全国に265市町村も存在しているそうで、“ガソリンスタンド過疎地”が全国各地で広がりを見せている。

ちなみに、ガソリンスタンド数はピークだった1994年度の約6万箇所から、2013年度には約3.4万箇所と4割以上も減少している。

ガソリンスタンド減少の背景

こうした傾向が顕著になったのは主に4つの要因が存在するという。

(1)HV(ハイブリッド車)の普及や従来車の低燃費化による需要減

(2)増税(地球温暖化対策税追加 2012/10、消費税 2014/4)

(3)ガソリンスタンド経営業者の高齢化

(4)高額な老朽化燃料貯蔵タンクの改修費用

なかでも(4)については、政府が消防法改正により2013年2月までに老朽化したタンクの改修を義務付けたことで、高額なタンク改修費用が重荷となって中小事業者を中心に経営を断念するケースが増加。

大型店舗では、コンビニ・カフェの併設や自動洗車機設置による副業で対応するも、全国で大勢を占める小規模店ではそれも叶わない状況。

既に“ガソリンスタンド過疎地”では自動車用燃料だけでなく、冬場の暖房用の灯油や農機具用の燃料の調達にも支障をきたしているという。

こうした状況を踏まえて、具体的な対策を考えてみたい。

■1:移動用タンクローリーによる燃料配給

まず現実的な策として思いつくのはこれだろう。しかしながら、現時点では消防法によりタンクローリーからの直接給油は禁止されている。

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そこで、経産省が総務省の消防庁に働きかけて、安全な給油装置の開発により直接給油を可能とすべく、規制緩和に向けて動き出している。

給油装置の開発費などで約1.5億円を2015年度予算案に計上、実証試験を始める予定だ。

■2:充電器配備でPHVや小型EVを普及

ガソリンスタンドがない地域ではPHV(プラグインハイブリッド車)の普及も効果的な策となる。

PHV

普段はモーター走行を主にしながら、長距離走行ではエンジンも使える充電可能な電動車で、災害時の“非常用電源”としても使える点が魅力。

トヨタ『プリウスPHV』や三菱『アウトランダーPHEV』に加えて、BMWなどの海外勢も続々とPHVの日本導入を開始している。

PHVの普及には充電設備の整備が不可欠となるが、トヨタ自動車では3年前からお膝元である愛知県の4自治体と共同で、山間部を含む公共施設を対象に150基近い充電器を実際に設置し、効率的な充電器の配策を研究している。

TOYOTA

また、トヨタ車体が開発したパーソナルEV『COMS』(画像左)なども後部に荷物を搭載可能で、有力な地域の交通手段になり得る。

公共交通機関がない地域では、ガソリンを入れに行くのに何十キロも運転しなければならならない事態が既に発生しており、今後増大する可能性が高いことから、こうした“ガソリンスタンド難民”を救済するための代替交通手段の構築が急がれるのだ。

このニュースに関するつぶやき

  • LPガス車は、もっとキツイですよ。
    • イイネ!25
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