野球漫画の名作『タッチ』の主人公「上杉達也」の双子の弟である「上杉和也」。志半ばで事故に遭い、この世を去ってしまった彼は、その存在感はもとより物語上も非常に重要なポジションを占めています。そんな、『タッチ』を語るうえで欠かすことのできない存在である「上杉和也」の魅力に迫ってみましょう。
【※一部、ネタバレの内容を含む可能性が御座います。ご注意下さい。】
■ストイックな秀才
天才型の兄・達也に比べ、何事も人並み以上の努力で乗り越えてきた和也。そのストイックさは凄まじく、常人には決して真似できない努力の人と言っても良いでしょう。世間では「天才」と呼ばれることも多いですが、より正確に言うならば和也は「努力の天才」。和也はまさに秀才の鏡のようなキャラクターです。
■理想的なジェントルマン
また、ストイックな所は女性に対しても変わりません。基本的に浅倉南以外の女性には興味を示しませんが、かといってそれ以外の女性をないがしろにするわけでもなく、過度な期待を持たせるようなこともしない。その姿はまさにジェントルマン。和也は古き良き理想の男性像を体現したようなキャラクターではないでしょうか。
しかし、唯一自分の欲望を表に出してしまうのが南に関すること。多少強引でも南を自分のものにしようと、積極的にアプローチをかけていきます。好きな相手のことは思いきり特別扱いする。そこが、彼の紳士さの根源なのかもしれません。
■物語上の重要なポジション
『タッチ』という作品を語る際、必ず議題に上がること。それは「もしも和也が生きていたら・・・?」という疑問です。後から思えば、和也が試合に向かう前の一連のやり取りには死亡フラグがビンビンに立っているわけですが、当時初めて作品を観ていた人にとって和也の死は非常にショックな出来事であったと思います。ですから、こういった疑問が浮かぶのも当然と言えば当然のことですよね。
しかし不思議なのが、和也があそこで死ななかったとすると、どうやっても『タッチ』が『タッチ』でなくなってしまうという点。結局達也と南は結ばれたのでしょうか・・・。あるいは、和也が本当に南を甲子園に連れていき、南は和也と付き合うことになったのか・・・など。しっくりくる結末がどうしても想像できないのです。
その意味では、物語上「“和也の死”なくして『タッチ』なし」と言っても過言ではないほど、和也の死には非常に大きな意味があったことがわかりますね。
『タッチ』を語るうえで欠かすことのできない「上杉和也」。最近めっきりこういったキャラクターは少なくなりましたが、これは和也には他のキャラクターには真似できない特別な魅力があるからなのでしょう。誰もが一度は観たことのある国民的作品なので、いまさら皆さんに「ぜひ観て下さい」なんてすすめるような作品では無いかもしれませんが、改めて観返す事で、「上杉和也」の、そして『タッチ』のまた新しい魅力を感じる事が出来るかもしれません。
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★記者:西森ゆう(キャラペディア公式ライター)
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