タンパク質が違った!「自閉症」は唾液検査で早期発見が可能に

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2015年02月24日 17:30  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

昨今、自閉症への関心度が上がっているようだ。ネット上にも自閉症を扱った記事が多く見られる。自閉症というのは典型的なケースだけでなく、様々な度合いの発達障害や特性を伴うので、健常者とのあいだに明確に境界線が引けるわけではない。

一方で、自閉症と診断される子供の数は増えている。それだけに、親としては自分の子供が自閉症じゃないか気になるケースも多いだろう。

ところが、アメリカのクラークソン大学とニューヨーク州立大学プラッツバーグ校の研究者による研究で、唾液を分析することで自閉症の診断が可能になるかもしれないというニュースが、クラークソン大学のウェブサイトで発表されている。唾液のなかのタンパク質成分が、自閉症児と健常児では異なるというのだ。

特定のタンパク質の量が違う

現在アメリカでは、実に68人に1人が自閉症スペクトラム(軽度から重度まで幅広い自閉症を含む)と診断され、しかもその数は増えつづけているという。

そして自閉症の診断は、行動観察によるものしかなく、生理学的に診断する方法はいまのところない。生理学的な診断方法が開発されれば、早期の診断とセラピーが可能になる。

この研究にあたって、研究者は自閉症と診断されている6歳から16歳までの6人の子供の唾液と、同年代の健常の子供6人の唾液を調べて比較した。その際に使ったのは、タンパク質の違いを計測する手法として知られる質量分析法だ。

「私たちは、自閉症の子供の唾液で9種類のタンパク質が顕著に多くなっていることを発見しました。そして、3種類のタンパク質が少ないか、存在しませんでした」と研究者のひとりアリサ・G・ウッズ氏はいう。これは、生理学的に自閉症を特定する始めての研究だという。

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しかし、当然まだサンプルの数が少ない。研究者たちは、健常児と自閉症児とで違いが見られるタンパク質をいくつか発見したといっているが、今後さらに調査サンプルの数を増やして確認していく必要があるという。

自閉症の生理学的な診断はメリットだけか

もし、生理学的に自閉症を診断することが可能になれば、もちろんメリットはある。自閉症は現代の医療では治すことはできないが、自閉症児のための教育をすることで、社会への適応能力は上がるからだ。しかも開始する時期は早いほうがいい。そのためには早期の診断ができるといい。

その一方で、自閉症スペクトラムのなかには、高機能自閉症といって機能障害を伴わない者もいる。ものの見方や考え方はユニークかもしれないが、十分な知能を持ち、普通の生活をおくれるのだ。なかには、自分が自閉症スペクトラムだと自覚していないひとも多いと思われる。そういったひとも“自閉症”と診断されてしまうことがいいのかどうかは、議論の余地があるだろう。

自閉症のひとのなかには、特定の分野で秀でた能力を発揮するケースも少なくないという。診断の技術が上がるとともに、自閉症全般の研究と理解が進むことに期待したい。

このニュースに関するつぶやき

  • 自閉症、人間の進化かもしれない。だが、誰かに助けてもらわなければ生きられないのなら、生き物として、進化の方向が間違っていたのだろう。
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