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「誰かに頼む」という選択肢 ――脱・母子間のワンパターン

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2015年02月25日 10:32  MAMApicks

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最近の子どもを意識した病院では、待合コーナーでDVDを流していることが多い。ディズニー系の映画が小さな音でBGMのようにして流れているパターン。これ、助かるといえば助かるのだけれど、困ることがひとつある。診察が終わっても、子どもがなかなか帰ろうとしないのである。「もっと見る!」と動かない。

■手に負えない時、諦めて、どうしたか?
診察が終わった人がくつろいで見る場所じゃないし、長い待ち時間と短い診察が終わってようやく帰れるっていうのに、もう、私の優しさもそれほど多くは残っていない。子どもの側も、楽しいことをした後じゃないから機嫌が悪い。

最初は穏やかにアプローチしても、最後には引きずるように外に連れ出す事態になることもある。

先日も、診察が終わってまた画面の前に座り込んでしまい、なんだかこれは嫌なパターン、帰らなさそうだなぁ。数回声をかけて、その日の苦戦が予測された。先に続くやり取りを想像して、最後に怒る自分の姿まで見えて、気が重くなる。

そして、もう、諦めたのである。
「自分で」説得することを。


子どもの相手が上手な受付スタッフに、息子から見えない場所でそっとお願いをした。
「あの、すみません、うちの子、連れ出してもらってもいいですか? 私が言っても逆効果でなかなか離れないので……」

ありがたいことに、私がやるよりはるかにスムーズに連れ出してきてくれた。

■「人に頼る」という発想
思い切って人に頼ることは、悪いことじゃない。

……と頭で思っていても、実は、これがなかなかできない。とくに「子どもを連れ出して」なんて、「なんか無責任な親っぽいかな」と思うから極めて頼みづらい。
しかしそこを、思い切ってお願いしたのには、きっかけがあった。

少し前に、実家の両親に息子の面倒を頼んだ日、あとで様子をきくと、「おもちゃ売り場のゲーム機お試しコーナーから離れなくてね」と。そうそう、本当にこれもいつものパターン。まだうちには「本物のゲーム機」がないものだから、やってみたくてしょうがない。

では、どうやって売り場から引き離したのかを聞いてみたら、父が店員さんに、「あの子うちの孫なんだけど、うまいこと言ってやめさせてもらえないかなぁ」とこっそりお願いしたというのだ。「機械のメンテナンスってことにして、すごぉーくじょうずにやめさせてくれたの、やっぱりプロね!」と母。

あぁ、なんと明るい結論ではないか。ダダをこねる子どもと、言い聞かせられないダメ親な自分……みたいな、暗くてジメジメした内省的な構造がそこにはない。

両親は孫の相手が上手だし、もちろん最初は説得したに違いないのだけれど、「手強い」と思った時の解決方法が、あっさり「人に頼む」だとは、拍子抜けのような、むしろ目から鱗のような……。

■「頼む」という発想にならないわけ
母親になると「自分がこの子のことを一番よくわかっている」という思いを強く持ちやすい。それは、母親の勝手な「全能感」とかではなく、単に一緒にいる時間が長すぎて「いつものパターン」の集積がものすごいだけなのだ。

膨大なやりとりパターン集が頭の中にあるから、「この言い方は通じない」「こうしたらこうなる」という先の道筋が嫌でも見えてくるし、たいてい本当にそうなる。

実はそれらは閉塞気味な母子間の「ワンパターン」でしかないのだけれど、つい、他の人に対しても「その言い方じゃこの子には通じないのに」と適用してしまいがちだ。

だから、人に頼んでも解決しない、無駄、と思いやすい。こんなにこの子のことを知っている自分ができないことを、他の人ができるわけがない……と、多分どこかで思っている。

さらに、「こんなことを人に頼むのは、親として駄目っぽい? 恥ずかしい?」という大いなるプライドも加わって、なかなか助けを求められない。

■「頼む」は「手抜き」ではない
病院の受付スタッフにお願いしたのは、正直言えばちょっと恥ずかしかったし、「どういう親なんだ?」と思われたかもなぁ、とも思うけれど、でも、なんだか、これは解決策のひとつだなぁ、と素直に思えた。

私じゃない人が言えば通じるというのを目の当たりにして、あぁ、やっぱり他人が育児に介入するのは、大切なことだなぁ、と改めて思った。凝り固まった二者のパターンに風穴を開けるには、「いつもと違う他の人」というのは重要だ。

人に頼むのは、手を抜くことじゃない。
困ったから助けてもらうという側面だけでもない。

閉塞しがちな親子関係に、いい波風を立て、変化をもたらして、新たな気づきをもらうチャンスなんだ、と思うと、結構頼みやすくなる。もっと、どんどん頼んでいいんだろう。

逆に、親子でこう着状態に陥っているのを見かけると、ふたりの邪魔をしない方がいいだろうな、とあえて声をかけないようにしていたのだけれど、じつはあれ、意外とおせっかいに声をかけちゃっていいのかもしれない。

少なくとも私の場合は、声をかけてもらった方が助かる気がしてきた。
実のところ、ああいう時、最後の方はもう、親子でただの意地の張り合いになっていたりしますので……。

狩野さやか
ウェブデザイナー、イラストレーター。企業や個人のサイト制作を幅広く手がける。子育てがきっかけで、子どもの発達や技能の獲得について強い興味を持ち、活動の場を広げつつある。2006年生まれの息子と夫の3人家族で東京に暮らす。リトミック研究センター認定指導者。


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