3世紀にわたって繰り広げられた戦国時代が終了し、平和な世界が訪れたフェルビスト大陸。圧倒的な魔法力で「諸悪の根源」といわれたガズ帝国の皇帝、禁断皇帝ともよばれるアルトゥール・ガズ。『棺姫(ひつぎ)のチャイカ』は、そのガズ皇帝の娘と名乗る少女「チャイカ・ガズ」と出会った、サバターと呼ばれる兵士である兄妹との冒険の物語です。
【※一部、ネタバレの内容を含む可能性が御座います。ご注意下さい。】
■けなげで可憐。無垢で可愛い少女
ロシア語でカモメを意味するチャイカ。長い銀髪と紫の大きな瞳、そして太い眉が美しい少女、推定14〜5歳。本人の記憶はあいまいで、ガズ帝国の言葉、ラーケ語が母国語のため、大陸の公用語がカタコトです。「私、了承」(わかりました、の意味)「衝撃の事実!」(びっくりした、の意味)「肯定」(はい、の意味)、「一人留守番、不可!」(ひとりで留守番するのはいやです、の意味)などなど、かわいらしいカタコトが「チャイカワイイ!」とネット民に大人気です。
彼女の目的は「お父様の遺体を集めて弔うこと」。一生懸命に話す姿や、自身より大きい棺(ガントと呼ばれる武器が入っている)を背負う姿はとてもかわいらしく、サバターのトールやアカリと同様、真剣に遺体を探すチャイカを応援せずにはいられません。また、攻撃魔法に使う燃料が足りなくなると、記憶を燃料として使うなどの自己犠牲的発想も、彼女のけなげさを助長しています。
■チャイカの秘密
実はチャイカは複数います。見た目のかわいらしい孤児を連れてきて、魔法でチャイカとしての記憶を植え付けるのです。チャイカとして目覚めるまでは普通に暮らしているようですが、どうやら絶望した際にチャイカとして目覚め、目覚める前の自分を知るものを皆殺しにすることで(本当のことを教えないために)自分をチャイカ・ガズだと思いこむようです。
ガズ皇帝は、「無垢で可愛い」娘にチャイカ処置をし、世界に放つことで協力者を募り、絶大な魔法力を持つ皇帝の遺体を集めて、自らが復活する手助けをさせようとしたのです。おそらく潜在的なチャイカは数百人いると考えられます。性欲をつかさどるらしい蒼いチャイカいわく、白のチャイカは庇護欲など、人間の欲望を刺激する性質があるようです。
本作のヒロイン「チャイカ・トラバント」は通称、白チャイカ。ちょっとエロ目の蒼チャイカや、強大な力を持つ黒チャイカ、ツンデレ紅チャイカ、また劇中でチャイカに目覚めたヴィヴィは半チャイカと呼ばれています。
チャイカはもともとガズ皇帝が拾った孤児。「娘」としてそばにたわむれに置いていたと言っていますが、娘の死後、彼女を模した娘たちを量産したあたり、「いとおしい」という気持ちがあったのかもしれません。その「無垢で可愛い」容姿が人々を惹きつけることもわかっていたようですし、それなりに愛があったように思います。最後は「一番あの娘に似ている」白チャイカに弔われたガズ皇帝。良い幕引きだったと言えるのではないでしょうか。
【最新ランキング】アニメファンが選んだ 2015年春アニメでもっとも期待している作品 TOP20!【原稿作成時期の都合により、内容や表現が古い場合も御座いますがご了承下さい】
★記者:藤原ユウ(キャラペディア公式ライター)
(C)2014榊一郎・Nitroplus/KADOKAWA 富士見書房刊/「棺姫のチャイカAB」制作委員会