おしっこをまき散らす男児の先っぽ

臭う。なんだかくさい。
冬はそうでもないのですが、春になり気温が上がってくると、なにやらニオいはじめます。トイレ全体がモワ〜っと、おしっこくさくなるのです。

筆者は今の住まいに子どものときから住んでいますが（実家です）、昔はこのようなことはありませんでした。家はだいぶ古くなりましたが、そのせいではありません。
おしっこが、まかれているのです。



■なぜ便器の外におしっこがかかるのか
まいているのは、我が家の小学生男児です。そしてうちの息子のほか、遊びにくるお友だち。立ちションをするときに、便器の外におしっこが出てしまうのでしょう。

なぜそんなことに？
彼らが尿を放つとき、いったい何が起きているのでしょうか？

まずは息子を観察してみたところ、最初に気づいたのは、「フリーハンド」であるという事実です。そりゃこぼすだろうよ！　おしっこが出るとき、ちんこがぴよぴよと動いているのですから。

そこで、「必ず手を添えて、方向を便器の内側に定めるように」と厳命しました。

ですが、その後もおしっここぼれはあまり改善しません。
とくに出始めがいまひとつ安定しないのです。横に向かって飛んで便器の側面を濡らしたり、上に向いて便器のふちを汚したりしてしまう。

なぜそうなるのか？
ちんこを持たない人間には、不思議で仕方がありません。
そこでパートナーをはじめ、ちんこをもつ周囲の人々にたずねてみたところ、どうやら「先っぽ」の問題らしいことがわかってきました。

いわゆる「包茎」というやつです。
そのせいで、子どものおしっこの方向が定まらないようなのです。



■犯人は先っぽを覆う「皮」だった！
「包茎」。聞いたことはあっても、それが実際にどんなものかよくわからない、というママは多いのではないでしょうか。じつは筆者もそうでした。

そこで、「はたクリニック」院長の秦 堅佐工（はた けんさく）先生にお話をうかがってみました。

「包茎というのは、おちんちんのまわりを包む皮が先端を覆っている状態のことです。子どもは、これが“ふつう”なんですよ。ただし、その度合い（皮のかぶり具合）にはかなり個人差があります。皮を根元に向けてひっぱるようにすれば、おしっこの出口が露出する子もいるし、ひっぱっても出口が露出せず、皮がかぶったままの子もいます。

尿道口に皮がかぶったままの状態で放尿すれば、おしっこは当然まっすぐには出てきません。たるんだ皮の部分が尿線を邪魔してしまうこともあります。そのため周囲に飛び散ってしまうのです。本人も意図してやっているわけではありません」
なんと！　そういうことだったのですね。
叱っても仕方がないことだったのか……。息子にはがみがみ言って、気の毒をしました。ちょっと反省です。

■あまり飛び散るような場合には小児科へGO
ではその「包茎」、どのように対処すればいいのでしょうか？　放っておいて大丈夫なのでしょうか？

「大人になるにつれて、自然と露出範囲は広がっていくものですから、とくに心配はいらないですよ。ただし、ひっぱっても出口が皮ですっかり覆われていて、おしっこが毎回ひどく飛び散ってしまうような場合には、一度小児科を受診してみるといいでしょう。

なお決して、お母さんが無理に皮をむいたりしてはいけません。皮が裂けたり、嵌頓（かんとん）といって、皮が元に戻らず、亀頭部に血液がいかない状態になってしまう危険性があります。絶対に無理はしないでください」

―― その後、幸い息子のそれは、医者に行くほどではありませんでした。
そこで「手を添えろ」でなく、「根元に向けて皮をひっぱれ」という指示に変えたところ、安定的に放尿できるようになってきた次第です。
ヨカッタ、ヨカッタ……。

・参考書籍：『トイレ上手な子どもになれる本』（辰巳出版）
・取材協力：はたクリニック　http://www.hataclinic.jp/

大塚 玲子
編集者＆ライター。都内の編集プロダクションや出版社に勤めたのち、妊娠を機にフリーとなる。以来、書籍やムックの企画・編集・執筆などを行い、2014年からはWeb媒体にデビュー。結婚、離婚や子ども、家族をテーマにした仕事を数多く手がける。

【関連アーカイブ】
・「ムクべきかムカざるべきか」それが結構問題な、男児の「ムキムキ」狂想曲
http://mamapicks.jp/archives/52034382.html