「セブン」「ジャパネット」も成功した下取りセールビジネスの肝

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2015年05月02日 18:00  JIJICO

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鈴木敏文氏が語る「現金下取りセール」


先日、「セブン&アイ・ホールディングス」の会長兼CEOである鈴木敏文氏のインタビュー記事がインターネット上に掲載され、人間心理から考えたキャッシュバックキャンペーンや現金下取りセールについて語っていました。


「下取り」といえば真っ先に浮かぶのは自動車ですが、他にもバイク、家具、家電、カメラ、シューズなど枚挙に暇はありません。一方、テレビコマーシャルで頻繁に見かける「高く買います〜」などのように、現金で高く買い取る「買い取り」も存在します。


例えば、自動車のビッグモーター、バイクのバイク王、本のブックオフ、CD・ゲームなどのGEO、あるいはTSUTAYAなどは古物商免許を所持し、専門性の高い中古商品を手掛けています。いわゆる、現金買い取りの中古品販売業といわれるカテゴリーです。


下取りと買い取りの違い


では、下取りと買い取りの違いを車の事例で考えてみましょう。車を買い替える際、販売店を訪れて現在乗っている車を売却し、購入する車の代金の一部に充てることが「下取り」です。一方、「買い取り」は中古車専門店などで、現在乗っている車を売却して現金を得ることを指します。買い取り価格は、中古車業者間のオークション相場が基準となります。


一般的に買い取り業者の買い取り価格の方が、下取り価格よりも高くなる傾向があります。買い取り専門店は、買い取った車を販売するチャネルをより多く持っているため、高値で買い取ることができるからです。


通常、商売は安く仕入れて高く売るのが王道


通常、商売は安く仕入れて高く(適正価格で)売るのが王道です。昔から言われている「入るを量りて出ずるを制す」、現代でいうところのキャッシュフロー経営です。ところが、中古品を扱う業者は逆で、高く仕入れて、安く売るのが原則となります。高価で買い取らなければ、売れる商品が集まらず、同業他社との競合に敗れてしまうからです。


買い取り業者の場合、高く仕入れた商品をメンテナンスして新品同様にブラッシュアップし、新品よりも下層の購入対象者をターゲットにしています。


下取り制度を巧みに利用している会社とは


そんな中、下取り制度を巧みに利用している会社もあります。当方が知る限り、下取りで最も成功している企業はジャパネットたかた(長崎県佐世保市)だと考えています。当方もこれまでプリンタ、掃除機、パソコンなど、旧式の機器を下取りに出して新たな機種を購入してきました。


思えばスクラップにするにも費用が掛かり、二束三文にしかならない機器を数万円で下取りしてくれる便利なオプションがジャパネットたかたの下取りキャンペーンの魅力です。新規で購入する商品が少々型落ちでも、1〜2万円の下取りによる値引きがあり、実勢の価格よりリーズナブルであるからこそ利用するきっかけになりました。


当然、下取りによる実質的な値引きをしても十分利益が出る体質になっているはずですが、下取りにより集まった製品はスクラップ業者に売却、あるいは少々の処理費用を払っても薄利多売ができるプライシングになっているのでしょう。


ニーズを上手に汲み取ったのが、買い取りあるいは下取りサービス


現在も不要なパソコンを1万円で下取りし、東芝ダイナブックキーボード付きタブレット端末を販売しています。この場合、ヤフーモバイルのポケットWI-FIの2年間契約が必須となっているのがみそなのですが(月額税込5123円)…。


他方、エアコン1台下取りでも2台分の下取り価格を提示するサービスも打ち出しています。創業者の高田明社長が引退し、新体制になり、こうした下取りオプションがより鮮明になってきたように感じます。


飽食の時代といわれ、衣食住のどれも一定水準の生活レベルが備わった日本では、技術の向上はもとより、企業の陳腐化戦略の産物としてスペック競争から脱落した製品を処分し、より便利なものに買い替えたいという潜在ニーズがあります。このニーズを上手に汲み取ったのが、買い取りあるいは下取りサービスといえるでしょう。



(村上 義文・認定事業再生士)

このニュースに関するつぶやき

  • 反論。価格調査力が高い若年層はこの販売方法に乗り気ではない。「下取り後の値引き価格」並みか、それ以下で購入する術を知らない高齢者がキャッチされているだけの話。ただ→
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