筆者がカウンセリングの相談を受ける中で、「上司や同僚から自分がどう見られているのか」という点が非常に気になるという方がいらっしゃいます。職場の人間関係を考える際に、周りの上司や同僚のことが気になる気持ちはとてもよくわかりますが、実は一番最初に考えるべき、一番大切といっても過言でないことは「自分を知ること」なのです。自分が自分に対してどう認識しているか、ということが、人間関係に大きく影響してくるからです。心理学では「自己意識理論」と呼びますが、今回はこの自己意識について考えてみましょう。
■自己意識とは
自分自身を対象視(外から見る)し、自分に対して持つ認知を自己意識と呼びます。これは人間関係において、相手が自分をどう見ているか、そして自分にとっての理想の自分を意識させるものです。
自分の自己意識が強いか弱いかについて、少し古いですが心理学者のフェニングスタインが1975年に発表した「自己認識スケール」にて簡単に測ることができます(※1)。
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項目は以下の通りです。あてはまるものに○をつけてみましょう。
○の合計数が3以下ですと自己意識が弱く、4〜6は強い、7以上は非常に強いと判断できます。また、自己意識にも2パターンあり、自分の内の感情を意識する私的自己意識と、外から見た自分を意識する公的自己意識とに分けられますが、奇数番号の合計が多いほど前者の、偶数番号の合計が多いほど後者の意識が強いことがわかります。
先ほどの「上司や同僚にどう見られているか気になる」というご相談は、まさに「公的自己意識」の高さが影響し、不安や心配がちになるのだと言えます。ただ、度を過ぎると被害妄想になる恐れもあります。自分のタイプを知り、人と関わるときに自分がどのような態度・行動をとりやすいかを意識し、相手に応じて変えていくことを意識しましょう。これこそが「自分を知る」ことであり、人間関係改善にも役立つのです。
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[ 執筆:浅賀 桃子(メンタル心理・キャリアカウンセラー), 2015年5月13日]
【参考】
※1. 齊藤勇著 (2009)『イラストレート 人間関係の心理学』誠信書房,p6
※写真:Andrew Taylor / 123RF.COM、本文とは関係ありません
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