限定公開( 3 )
スポーツの世界では女子も着々と男子と同じ競技種目が選べるようになってきているが、スポーツゲームの世界でも、この流れはわずかずつではあるが進んでいるようだ。この秋、初めて女子サッカーを扱うゲームが登場するのだ。
■『FIFA 16』に女子12チームが新たに加わる
エレクトロニック・アーツ(以下、EA)より今年9月24日リリース予定のサッカーゲームシリーズ最新作『FIFA 16』に、12もの女子代表チームが加わることになった。女子サッカーがゲームになるのは初めてのことで、注目を集めている。
『FIFA 16』は従来通り男子サッカーを存分に楽しめる内容だが、それとは独立した形で女子サッカー専用のモードが追加されるのだ。男女のモードは完全に分離しているため、男子チームと女子チームが対戦することはできない。ゲームの世界なら男女関係なく対戦できてもいいような気がしないでもないが、現実のサッカーを反映した判断だということだ。
世界12カ国の女子ナショナルチームは、ドイツ、アメリカ、フランス、スウェーデン、イングランド、ブラジル、カナダ、オーストラリア、スペイン、中国、イタリア、メキシコで、残念ながら日本の"なでしこジャパン"は含まれていない。
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EAのプロデューサー、ニック・シャノン氏は「多くの女子チームと女子選手を分析して、できる限り本物に近づけました。そのためけっこう開発に時間がかかりました」と、かなり大がかりなゲーム開発であったことを「GameSpot」のインタビューで語っている。
『FIFA 16』を制作するにあたって、同社は新しい身体測定技術を開発するところから始まり、女子選手専用の新たなボディタイプを作り上げ、揺れる髪まで表現できるようにしたりと、女子選手の特徴をリアルに再現することに尽力したという。史上初の女子サッカーゲームがどんなものになるのか、楽しみだ。
■女性だけのゲーマー組織「Frag Dolls」が役目を終えて解散
手軽に楽しめるゲームアプリの普及で女性ゲーマーが増えてきている昨今、むしろ女性のニーズに応えないゲームはヒットしないともいわれているほど。主人公キャラを男女両方用意するなどの流れも急速に広まりつつあり、今や女性ゲーマーの存在を前提にしたゲーム作りが当たり前になっている感もある。その意味で、ゲーム界にあって女性はもはやマイナーな存在ではなくなったといえるだろう。
それを象徴するかもしれないのが、設立から11年もの間、順調に運営されてきたUbisoftの女性だけのゲーマー部署「Frag Dolls」が先頃解散したというニュースだ。
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「Frag Dolls」は2004年に米・ニューヨークのブルックリンで7人のメンバーによって創立され、その後イギリスとフランスに拠点を構え、女性ゲーマーだけで運営されてきた組織である。活動内容としては女性ゲーマーの各種トーナメント出場を後押しすると共に、それまではなかなか女性には門戸が開かれていなかったゲーム業界への就職、キャリアアップを支援し、これまで80人以上の「Frag Dolls」出身者がUbisoftをはじめEAや2K、任天堂など、名だたる会社で活躍の場を与えられてきたという。そのおかげもあってか、昨今のゲーム業界での女性比率も順調に高まっており、今回の「Frag Dolls」解散は、その役割を終えたとも解釈できそうだ。
ますます"女性の時代"を迎えつつあるゲームシーンの中、果たして女子サッカーゲームがどうユーザーに受け止められるのか、この秋以降に注目したい。
(文/仲田しんじ)
【参考】
・GameSpot
http://www.gamespot.com/articles/fifa-16-to-include-women-s-teams-for-the-first-tim/1100-6427630/
・GamesIndustry
http://www.gamesindustry.biz/articles/2015-05-29-ubisofts-frag-dolls-disband
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