睡眠時の無呼吸で血圧が急上昇
さまざまな病気を引き起こす高血圧。中でも、睡眠中も血圧が高い「夜間高血圧」の患者さんは脳卒中などを発症するリスクが高く、夜を通しての血圧管理が重要とされています。この夜間高血圧の要因のひとつに、睡眠時無呼吸症候群があるのをご存知でしょうか。
睡眠中に一定時間呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群。国内に200万人から300万人の患者さんがいるといわれています。呼吸が止まると血圧が急激に上昇して心臓などに大きな負担がかかり、循環器系の病気を発症するリスクが高まるとされています。
ところが、血圧計を夜間も装着し一定の間隔で測定する従来の血圧測定では、睡眠時の無呼吸発作が起きたタイミングに合わせて測定ができません。そのため、睡眠時無呼吸にともなう血圧上昇を正確に捉えることができず、病気発症のリスクを正確に判断できませんでした。
就寝前の適切な治療で、血圧の上昇は抑えられる
その課題を解消するため、オムロン ヘルスケア株式会社と自治医科大学は、睡眠時の無呼吸発作を検知すると同時に血圧測定を開始する特殊な測定機を共同開発して実証研究を実施。現在までに、25の医療機関が研究に参画し、900を超える症例が集まっています。
研究の結果、夜間血圧の平均値は一見正常でも、睡眠時無呼吸が発生すると血圧が高くなる人で、血圧が200mmHg以上に急上昇するタイプの高血圧があることがわかりました。また、就寝前に適切な治療を行うことで、睡眠時無呼吸にともなう血圧上昇を抑えられることもわかりました。
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睡眠時無呼吸が疑われる場合の夜間の血圧管理では、夜間血圧の平均値だけでなく、睡眠時無呼吸の発生時の血圧上昇を含めて測定し、治療することが重要です。共同開発の測定機は、2015年度中には販売開始される予定なので、睡眠時無呼吸症候群の人は利用を検討してみてはいかがでしょうか。(林 渉和子)
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