女性の過敏性腸症候群(IBS)治療に新たな選択肢

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2015年06月25日 14:10  QLife(キューライフ)

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IBSの症状における男女差とは

川崎医科大学 消化管内科学教授 塩谷昭子先生

 過敏性腸症候群(IBS)は、検査では異常がないにもかかわらず、腹痛や腹部不快感をともなう便通異常(下痢・便秘)が繰り返し起こる疾患です。脳が受けたストレスの信号が腸に伝わり、腸管におけるセロトニンの作用が過剰になることで、下痢や腹痛が起こります。

 これまで国内において、男性の下痢型IBSでは治療薬「イリボー」(一般名:ラモセトロン塩酸塩)が使われてきましたが、このたび同治療薬が女性の下痢型IBSにも適応を取得しました。それを受けて、治療薬のメーカーであるアステラス製薬株式会社は、川崎医科大学 消化管内科学教授の塩谷昭子先生を招き、IBSの最新事情についてセミナーを開催しました。

 塩谷先生は、「IBSは比較的若い患者が多く、成人有病率は約13%。症状に性差がみられるのが特徴で、男性では下痢、女性では下痢と便秘の混合した症状が多くみられます」と、説明。そこでアステラス製薬株式会社は、全国の男女IBS患者各620名に実態・意識調査を実施。約9割の患者が悪化時の症状を「辛い」と回答し、悪化のきっかけとして、男性は「職場環境の変化」が最も多く、女性は「仕事や家族の人間関係の悩み」が多いことがわかりました。また、生活に支障を感じる場所や場面では、全体で「トイレが近くにない公園・自然環境」「バス・電車での通勤・通学」が上位に挙がり、特に女性では気温等の冷えに関する場所や場面、生理中(前後)で高い傾向がありました。

約8割のIBS患者が適切な治療を受けていない

 IBSは、悪化時の症状を辛いとする人が多いにもかかわらず、「体質の問題とあきらめている人が多いため、医療機関を受診する人は少なく、約8割の患者が適切な治療を受けていません」と、塩谷先生。不安・イライラ感、うつ症状などを伴うことも多く、重症の方は非常に生活の質(QOL)が低下してしまうといいます。

 塩谷先生は「腹痛や腹部不快感などの症状が排便すると軽減してくる場合、IBSの可能性が高いといえます。慢性的にこのような症状が起こる人は、ぜひ相談してください」と呼びかけました。(QLife編集部)

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