日本人に多いジェノタイプ1型C型肝炎に新たな治療選択肢

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2015年08月11日 18:00  QLife(キューライフ)

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国立国際医療研究センター国府台病院 溝上雅史先生

 近年、インターフェロンを使わずに経口薬のみで治療する、インターフェロンフリーのC型慢性肝炎治療薬が次々と登場しています。その1つが、7月に製造販売承認を取得した、ジェノタイプ1型C型慢性肝炎の治療薬「ハーボニー(R)配合錠」(一般名:レジパスビル・ソホスブビル配合剤)です。同月、製造販売元のギリアド・サイエンシズ株式会社がセミナーを開催、国立国際医療研究センター国府台病院の溝上雅史先生と、東京肝臓友の会の米澤敦子さんが登壇し、日本人に多いジェノタイプ1型C型慢性肝炎の最新治療について講演しました。

国内のHCV感染者数は推定150〜200万人

 C型慢性肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染により、6か月以上にわたって肝臓の炎症が続き、細胞が壊れて肝臓の働きが悪くなる病気です。国内では約150〜200万人のHCV感染者がいると推測されています。HCV感染後、約20年でおよそ3〜4割が肝硬変に至り、肝硬変まで至った場合、年率7%の割合で、肝細胞がんを合併するといわれています。初期は自覚症状がほとんどなく、肝硬変や肝がんになるまで気づかないことが多いのも特徴です。

 C型肝炎の治療は、HCVを排除する「抗ウイルス治療」が基本です。ウイルスを排除することで、肝細胞がんや肝疾患関連死のリスクが低下します。しかし標準的に行われる、インターフェロンをベースとした治療法は、日本人に多いジェノタイプ1型や高ウイルス量の患者に効きにくいことにくわえ、副作用が大きい、治療期間が長いといった問題がありました。また、国内のC型慢性肝炎患者の約7割は高齢者で、インターフェロンが使えなかったり、効かなかったりするケースが多くみられます。そこで、より副作用が少なく、ウイルス排除率の高い治療法が求められていました。

ウイルス排除率100%、耐性変異の出現は認められず

 「ここ数年で新しい抗HCV薬が多く出てきた背景には、HCVを試験管で増殖できるようになったことがあります。それによってウイルスの解析が進んだのですが、抗ウイルス薬での治療には必ず『耐性』が出ます。ウイルスが排除できないことは耐性になってしまう(耐性変異を獲得してしまう)ことを意味します。だから耐性のできない薬が本当に現実問題として我々が欲しかったものなんです」(溝上先生)

 国内で行われたハーボニー配合錠の臨床試験では、ウイルス排除率100%。また、耐性変異の出現は認められませんでした。

 溝上先生は、「耐性ウイルスの発生を防ぐためにも、患者さんには、とにかく、12週間、1日1回1錠を、きっちり服薬してもらうことが重要。また、医師は、肝がんリスクの高い患者では、ウイルスを排除したあとも定期的にフォローアップが必要」と締めくくりました。

 続いて登壇した、東京肝臓友の会の米澤敦子さんは、「患者視点からのC型肝炎治療におけるアンメットニーズ」と題し、ハーボニー配合錠について患者から受けた電話相談の内容を紹介。副作用がつらく、インターフェロンでの治療を中断してしまった患者や、働きながらの治療が難しいため治療をあきらめていた患者、肝がんを手術した患者、高齢の患者など、インターフェロン治療を受けられない人々から、自分のケースでは同剤が使えるか、いつから使えるか、といったさまざまな相談が多く寄せられていると話しました。

 現在、日本において、慢性肝炎、肝硬変の7割、肝細胞がんの7割はHCVの持続感染に起因しています。副作用が少なく、経口薬のみで治療できる同剤が、これまで、さまざまな理由でインターフェロン治療を受けられなかった患者への新たな選択肢となることが期待されます。(QLife編集部)

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