治療行為が原因でいじめられるケースも
インスリンを産生する膵臓の細胞が破壊・消失することで発症する1型糖尿病。多くは免疫系の異常により自らの細胞が攻撃される自己免疫によるものと考えられています。この1型糖尿病は子どもに多く、治療と学校生活の両立が大きな課題となっています。糖尿病ネットワークは、そんな小児1型糖尿病患者の学校生活に関する調査を行いました。
患者115人のうち、クラス全員に病気を打ち明けたのは45%。担任教諭には83%、養護教諭には68%が知らせていました。また4割が、糖尿病でいじめを受けたり、からかわれたりしたことがあると回答。糖尿病という名称や、補食、注射などがきっかけのようです。
学校生活では、担任や養護教諭が「必要な時は助けてくれた」が37%で、「いつも助けてくれた」が27%。また19%が、学校で人の助けが必要なほど低血糖になったことが「何度かある」と回答。しかし7割が、低血糖に対処できるのは「自分のみ」と答えています。
養護教諭の4割、対処方法を知っていても経験はナシ
調査では、養護教諭27人に学校での受け入れ体制についても聞きました。1型糖尿病患者の生徒を受け持った経験がある養護教諭は37%。生徒の親から、医療的なケアなどを依頼された場合、「その都度検討する」が41%で、「できる限り対応している」が30%でした。
また、保健室でできることでは、「インスリン注射や血糖測定の場を提供」が81%、「補食の保管」が74%だった一方、「低血糖症状に対する簡単な対処」は59%。実際に対応した経験があるのは52%で、4割は対処方法を知っていても経験はないという結果でした。
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今回の調査では、治療と学校生活の両立は患者本人の努力に負う部分が大きく、養護教諭は糖尿病に関する知識はあっても、実際に処置した経験は少ないことがわかりました。1型糖尿病の知識を深めるとともに、得た知識を“実践”できる教諭が増えることが、子どもたちが安心して学校生活を送るために欠かせないのではないでしょうか。(下玉利 尚明)
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