関節リウマチ治療などの領域で普及が進みつつあるバイオシミラー製剤
画像はリリースよりバイオテクノロジーを応用した医薬品(先行バイオ医薬品)は、がんや糖尿病、希少病など多くの病気において高い治療効果が期待できます。その後発品である「バイオシミラー」(バイオ後継品)は、治療効果に加えて社会保険費や個人の医療費負担の軽減につながるものとして期待されています。しかし、現実的な普及には少々時間がかかりそうです。
医療分野のリサーチ事業を展開する株式会社マクロミルケアネットが、医療用医薬品の処方に関わる薬剤師700名にアンケート調査を実施。その中で病院勤務の薬剤師にバイオシミラーの採用実績を問うと、58%が採用していると回答。採用経緯については、「医師からの強い要望」(24%)よりも「薬剤部主導」(36%)によるものが多いという結果になりました。
「今後どのバイオシミラーが普及すると思うか」という質問に対して回答が多かったのは、「ヒト・インスリン(対象疾患:糖尿病)」で72%、続いて「TNF阻害薬(対象疾患:関節リウマチ、乾癬、クローン病、潰瘍性大腸炎・結腸炎)」が61%、「エリスロポエチン(対象疾患:慢性貧血症)」が60%という結果に。患者数の多い糖尿病や、バイオ医薬品による治療効果が高く認知されている関節リウマチなどの領域において、バイオシミラー製剤が普及すると予想されているようです。
薬剤師がバイオシミラーに対する懸念点とは?
バイオシミラーは、先行品の7〜8割程度の薬価で提供されています。治療効果が高く、コストパフォーマンスが高いにもかかわらず、一体何が普及の障害となっているのでしょうか。
薬剤師が懸念点として挙げたのは、主に「安定供給」(35.1%)、「安全性」(35%)、「有効性」(31%)の3点です。その懸念から、販売メーカーに対して「安定供給」(67.9%)や「市販後臨床研究によるエビデンスの構築」(34.9%)「問い合わせ窓口の充実」(34.4%)を求める声が多く挙がりました。
|
|
バイオシミラーは、ジェネリック医薬品と違って分子構造が複雑なため、特有の製造工程が必要とされる上に、先行バイオ医薬品との同一性を示すのにジェネリック医薬品以上の労力がかかります。製薬企業がこの壁を越えて、薬剤師の不安を払拭できるかどうかが、今後の普及の鍵となりそうです。(宮坂方子)
関連リンク
- QLife 関節リウマチの最新治療!“医師が後ろのドアから逃げ出す時代”から寛解を目指す時代へ
- QLife 全員が1型糖尿病患者のプロサイクリングチーム、大健闘に声援やまず
- 株式会社マクロミルケアネット プレスリリース
- 国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部 HP「バイオ後続品」