国内初となる慢性E型肝炎を確認、その感染の原因は?

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2015年11月10日 18:10  QLife(キューライフ)

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増加傾向にあるE型肝炎とは

 E型肝炎という病気をご存知でしょうか。E型肝炎はウイルス性肝炎のひとつでA型、B型、C型の肝炎が多い日本では、あまり知られていませんでした。E型肝炎ウイルス(HEV)は、おもに飲食物を介して経口感染するタイプのウイルスで、これまでも公衆衛生環境の整っていない発展途上国で感染したり、輸入食物から感染したりするケースがありました。

 ところが、ブタやイノシシなどを保有種とした人獣共通感染を起こすウイルスタイプもあることから、近年では先進国でも土着型E型肝炎の広がりが問題になっています。日本でもE型肝炎の感染報告は増加傾向にあり、とくに臓器移植を受けた患者におけるHEVの感染が懸念されています。

 HEVは感染しても、治療が必要な症状を示さず健康に見える「不顕性感染」だったり、自然回復する場合がほとんどです。ただ、肝疾患の患者や妊婦が感染すると、劇症化し死に至ることもあるほか、慢性化して慢性肝炎や肝硬変になった症例も報告されています。

2例の慢性E型肝炎を確認、感染源は輸血製剤

 日本でも認知が高まりつつあるE型肝炎ですが、慢性化リスクの高い免疫抑制下の臓器移植患者に対するE型肝炎感染の実態調査は、これまで実施されていませんでした。そこで筑波大学ら共同研究チームは、全国17施設の肝移植患者を対象に大規模な調査を実施しました。

 その結果、肝移植を受けた患者1,651例のうち2例で、慢性E型肝炎の感染を確認。肝移植患者での慢性E型肝炎の感染例は、国内初のことです。追跡調査を行ったところ、HEVの感染源はいずれの症例も手術の際に使用された輸血製剤であることが判明したのです。

 これまで、国内では輸血製剤によるHEV感染が10例以上報告されています。輸血を受ける患者には、臓器移植患者や抗がん剤治療中など、免疫が低下した患者も含まれることを考えると、今回の研究結果は、輸血後の追跡調査や献血前のチェックの重要性を、改めて浮き彫りにしたものといえるでしょう。(林 渉和子)

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  • 輸血なのか… 取り敢えず、献血でエイズを検査しようとする人が居なくなりますように(>_<)
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