商業ではできない試みも……プロ小説家が“作家志望サイト”「小説家になろう」に続々投稿するワケとは?

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2015年12月16日 18:11  おたぽる

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おたぽる

小説投稿サイト「小説家になろう」より。

『ソードアート・オンライン』シリーズ(作:川原礫)や『オーバーロード』(作:丸山くがね)などのヒット作もあって、すっかりライトノベル・アニメファンに定着した感のあるWeb小説発のライトノベル。来年1月クールでも『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』(作:柳内たくみ)第2シーズンや、『この素晴らしい世界に祝福を!』(作:暁なつめ)などのWeb小説発ライトノベルのTVアニメが放送予定だが、そのWeb小説の最大手サイト「小説家になろう」で、すでに“小説家になった”プロ作家たちが次々と作品を発表し、話題となっているようだ。



 最近話題になったのは、TVアニメ化もされた『GJ部』シリーズなどで知られる新木伸氏。2015年5月から『星くず英雄伝』『異世界Cマート繁盛記』の2本の投稿を開始、さらに今月12日に『文明崩壊後の世界を女の子をバイクの後ろに乗せて旅している』『村人Aから始める薪割りライフ』『四億円当てた勇者ロトと俺は友達になってる』と、立て続けに3作も投稿をはじめ、合計5作品を連載中だ。また『祓魔学園の背教者』『ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー』シリーズなどで知られる三河ごーすと氏も、今月4日から『逆転召喚 〜裏設定まで知り尽くした異世界に学校ごと召喚されて〜』の投稿を始めている。



 実は「小説家になろう」で作品を掲載しているプロ作家は2氏にとどまらない。最近は脱税関連のニュースでも話題となっている橙乃ままれ氏は、単行本発行後も『ログ・ホライズン』を「小説家になろう」で掲載・更新中だったりする。「小説化になろう」を経てプロになった作家もいるので線引きが難しいが、ファンや読者のまとめによると、商業デビュー後に新しく「小説家になろう」に作品を掲載しているプロ作家は軽く20名以上は存在するようで、実は今年3月には、プロ作家の「小説家になろう」への掲載と、その際の発言を巡ってプチ炎上も起きていたりする。



 プロとしてギャラを受け取っている作家が、なぜわざわざプロ作家志望のアマチュアが集う「小説家になろう」へ作品を掲載するのか。各作家の「小説家になろう」コメント欄やTwitterなどの発言を拾ってみると、「実験的作品の発表の場として“なろう”を選択した」「編集部に企画が通りそうにない、書きたいジャンルがある」「商業ではできない挑戦・試み」「読者やファンとやり取りしやすい、評価がすぐわかる」といったあたりを理由としてあげていることが多いようだ。



 掲載されている作品群を読んでみると、「小説家になろう」読者を意識した異世界ものがやはり目立つが、中にはこのご時勢、商業誌でやると物議をかもしそうなR15推奨のバイオレンス&残酷&エロの過激な作風に挑戦していたり、既存のライトノベルレーベルどころか、「小説家になろう」でも好評を獲得するのに苦労しそうなニッチなジャンルの作品に挑戦していたりとチャレンジフルな作品もある。もちろんプロ作家だけあって、文章力や構成力は「小説家になろう」では飛びぬけており、読み応えも充分だ。



 出版不況の折、ライトノベルレーベルが乱立するだけに、実績ある作家でもなかなか冒険に出ることがためらわれる状況であることは難くないが、その中でプロ作家が新しいことに挑戦できる場があるのは、読者やファンにとっては喜ばしい状況なのかもしれない。



 プロ作家による「小説家になろう」掲載作品の商業化というケースも出てきているし、出版社と「小説家になろう」の共同での新人賞が開催されたりもしている。中には、ペンネームを変えていたり、短編を載せたきりで以後の更新が滞ってしまっている作家もいるが、それでも今後どんな作家がどんな作品を発表していくのか、楽しみにしていきたい。



 それにしても、本格的に「小説家になろう」に参戦しているプロ作家たちの更新ペースは速い。クオリティーを保ったまま、えらい量を生産している。プロの作家ってすごいんだなぁ、とペラ○○円とかで原稿を書いている、しがないフリーライターは恐れ慄いたのでした。


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  • 異世界ものかぁ…なろうに幻字フォントで投稿できるなら…とかちょっと思ったけど、文字通りの意味で「読めたものではない」のができるね。
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