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2016年も幕を開け、ゲーム業界にとっては遂に次世代VRゲーム元年がスタートした。先陣を切って待望のコンシューマ版HMDであるOculus Riftの予約が先日に開始され、HTCのViveも2月29日に予約を開始する旨を発表。いよいよ各社の次世代HMDがこれから相次いで登場する。
■待望のOculus Riftは9万4600円で入手可能
年明けの1月6日(米国時間)、待望のコンシューマ版Oculus Riftの予約が開始された。価格は599ドル。世界20カ国で同時に予約が開始され、日本から予約した場合の価格は送料込みで9万4600円だ。3月から受付順に発送を開始するとアナウンスされたが、今から日本で予約するとどうやら発送は5〜6月以降になってしまいそうだ。
おたぽるで以前紹介した宇宙戦闘機VRゲームの『EVE: Valkyrie』に加えて、アクションゲーム『Lucky's Tale』の2本のゲームソフトがOculus Rift本体に同梱されることが明らかになった。他にもXbox One用のワイヤレスコントローラー、専用リモコンの「Oculus Remote」、3Dポジショナルセンサーなどの同梱品があるということだ。
昨年6月に開催された世界最大のゲームイベント「E3 2015」で展示され注目を集めたOculus Rift用のハンドトラッキングデバイス「Oculus Touch」については、出荷時期が2016年下半期に延期されており、本体の発売には間に合わない格好となったが、このOculus Touchも今回一緒に予約することが可能となっている。なお、本体の出荷が始まる3月頃には、Oculus Rift版のVRゲームタイトルの第一弾ラインナップが出揃うということだ。ハードのみならずゲームソフトにも注目したい。
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一方、台湾のHTC社が米ゲームメーカー・ValveのVR技術の提供を受けて開発したViveの予約が、2月29日に開始されることが同社から発表されている。現在はまだ価格は発表されてないが、近々に公式アナウンスがあるはずだ。
PS4ユーザー待望のPlayStation VRの発売に関する詳細情報はまだリリースされていないが、こちらも近いうちに何らかの発表が行なわれるようだ。年明けに米・ラスベガスで開催された世界最大のコンシューマ・エレクトロニクス見本市である「CES 2016」で、ソニー・コンピュータエンタテインメントの平井一夫CEOは現在100タイトル以上ものPlayStation VR専用ソフトを準備していることをBBCの取材で語っている。今まさに、VRゲーミング新時代の開幕前夜が訪れたと言えるだろう。
■Oculus Riftの購入層はゲームユーザーとは「別のグループ」
VRゲーミングの先頭ランナーを自ら買って出た感のあるOculus Riftだが、ユーザーと市場の反応はどんなものになるのだろうか。もちろん新しモノ好きのコアなゲーマーやガジェットマニアには“買い”の一択しかないだろうが、マーケットを詳しく分析した場合、ことはそう単純ではないということだ。
「Games Industry」の記事などによれば、Oculus Riftは決してガジェットではなくハイスペックなPCの使用を前提とした“プラットフォーム”であるという指摘がなされている。事実、Oculus Riftの予約サイトでは、使用しているPCが推奨環境に適うものであるのかどうかをオンラインで診断するツールが盛り込まれている。誤解を怖れずにわかりやすく言えば、Oculus RiftはWindows10マシンを前提としており、まだまだ多いWindows7や8などに接続して使い続けるのはどうやら難しそうである。一説によれば、全世界で現在使われているWindowsマシンの1%程度しか、Oculus RiftによるスムースなVR体験が実現できないという。
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そこでOculusでは、動作を保証した各社のPCに今後「Oculus Ready」のお墨付きを与えて認定していくということで、Oculus Riftをゲーム機として購入しようと考えている人々の少なくない数は同時にPCの購入も検討することになりそうだ。その場合、本体とPCで1300〜1600ドル(約15万円〜19万円)になる。こういった実情が売り上げにどう影響するのか、フタを開けてみるまでわからない。
Oculus VRの創設者でありOculus Riftの開発者でもあるパーマー・ラッキー氏も、もちろんこのようなマーケット上の不透明感は理解しており、同社のOculus Riftを購入する層は、PS4などでゲームを楽しんでいるユーザーとは「別のグループである」と「International Business Times」のインタビューで発言している。確かにOculus Riftのような次世代型HMDが秘めている可能性はゲームだけに限らず、デザインや設計、各種の研究への応用など様々な用途が考えられている。ラッキー氏はOculus Riftが必ずしもビデオゲーム市場をメインに投入されるわけではないことを指摘しているのだ。
となると、ゲーマーにとってますます注目されるのがPCを使わず、PS4と連動させて楽しめるPlayStation VRの価格を含めた詳細スペックだろう。仮にPlayStation VRが600ドルだとすれば、昨年値下げされたPS4(3万4980円、税抜き)と一緒に購入したとしても11万円程度ということになるからだ。しかもすでに世界累計で3500万台を突破しているPS4であれば、HMDとハードの同時購入者はそれほど多くなさそうである。動きを見せはじめただけに現在様々な憶測を呼んでいるVRゲーム関連だが、今後いろいろなことがひとつずつ明らかになってくるだろう。引き続き最新情報に注目したい。
(文/仲田しんじ)
【参考】
・Gamesindustry
http://www.gamesindustry.biz/articles/2016-01-07-oculus-must-open-the-warchest-and-show-us-the-software
・International Business Times
http://www.ibtimes.com/oculus-vr-founder-defends-rift-price-tag-speaks-kindly-sort-about-sony-playstation-vr-2256011
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