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“遠足の思い出”というタイトルの絵が保育園の壁面にズラッと貼られています。キリンや象のかわいらしい絵が並ぶ中、もしわが子の絵が動物園ではなく、遊具のおもちゃの車だったらどうしますか?
あなたは思わず「なんでこんなの描いたの!」と言ってしまうでしょうか? でも否定すると自由な発想力の芽は摘まれてしまいますよ。
そこで今日は、『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者の立石美津子がお話します。
■それは誰のため?
幼稚園で行事のあと「展示して保護者に披露したい」こんな意図から「何とかいい絵に仕上げよう」と必死になって子どもを指導する先生がいます。確かに遠足で見てきたこと、楽しかったことを思い出し絵にする指導は大事です。でも、“描かせて、大人に見てもらうこと”が最終目的になってしまうとよくありません。
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例えば、水族館の熱帯コーナーの水槽で泳いでいたアロワナやピラニアを描かないで、そこに背景として飾ってあった剥製のオオハシ(熱帯雨林に住む鳥)を描いたとしましょう。
でもオオハシを描いてもよし、また水族館の前のエレベーターホールのガチャガチャに興味を持ったらそれを描いてもよし、子どもにとっての“水族館へ行った思い出”として記憶に残ったものならばそんな絵でもいいのです。
けれども、先生によってはこれを貼りだすと保護者からクレームがくるかもしれないと考え、「お魚さんを描いてみて」と横から指導を入れてしまうのです。これは大人都合です。
■つまらない作文の書かせ方
これは“ハシビロコウ”という鳥で上野動物園にいます。
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檻には「危険ですので決して網を引っ張りつかんだりしないでください」と、このような立て看板がありました。
でも、否定されればされるほど見たくなるのが人の心。ある子どもが檻のそばで両手をパチンと叩いたら、バサバサと羽を動かし、巨大なくちばしを開けて威嚇してきました。そんな体験をして周りの子ども達も大喜びでした。
ところが、クラスでこの体験を作文にして書くことになり、教師から「いつ、どこで、誰が、どうした」の順で書くように指導が入ったため、「土曜日の上野動物園の遠足で……」と定型的な文章にすることに意識がいき、「お友達と行きました。楽しかったです」で終わるありきたりなつまらない文章になってしまいました。
ここでもし、「遠足に行ってきた感想文を自由に書いてみて」とだけ伝えていたら、「ハシビロコウって知っていますか。僕はこの間生まれて初めて目にしました。」とか「今まで一度も見たことのない恐ろしい鳥に出会いました」と始める、生き生きとした感動が伝わる文章になったでしょう。
書き方のパターンに囚われず、思うように書かせた方が子どものオリジナリティー溢れる文章になることもあります。
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■家庭でママが注意したいコト
家庭で子どもにお絵描きをさせる時も同じです。最初にママがアンパンマンやぞうなどの絵を事前に描いてみせる人がいます。
ですが、子どもに見本を示すと一つのイメージを持たせることになり、それが視覚に強烈にインプットされてしまいます。そうしてただその絵を真似ることしかできなくなることにも。
子どもの自由な発想を伸ばすためには家庭でも、ママがルールやフォーマット、正解、不正解に囚われすぎず、その発想を広げられるようなサポートをしてくださいね。
いかがでしたか。
絵も作文も本来はお勉強ではありません。感動を周りに伝える表現活動です。何に感動するか、興味を持つかは十人十色みんな違います。親や教師が書いてほしいことを書かなくても「連れて行った甲斐がない」なんて思ってはダメです。
更に言語能力が育ってくると様々な文章表現も自然とできるようになります。その時を大人は我慢強く待ちましょう。幼児期、小学校低学年のうちは自由な発想の芽を摘まないように気を付けましょうね。
【画像】
※ margo_black / Shutterstock
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【参考】
※ 立石美津子(2014)『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』(日本実業出版社)
※ 立石美津子(2014)『「はずれ先生」にあたったとき読む本』(青春出版社)
【著者略歴】
※ 立石美津子・・・専門家ライター。32歳で学習塾を起業。現在は保育園、幼稚園で指導しながら執筆・講演活動に奔走。自らは自閉症児の子育て中。著書に『小学校に入る前に親がやってはいけない115のこと』『読み書き算数ができる子にするために親がやってはいけない104のこと』『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』『「はずれ先生」にあたった時に読む本』『一人でできる子が育つ「テキトーかあさん」のすすめ』
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