大人気マンガ家・種村有菜の描き下ろしマンガが収録された『刀剣乱舞-ONLINE-』の学園アンソロジーコミック『刀剣乱舞学園』(白泉社)が、昨年12月の発売から2カ月経った今になって話題にのぼっている。なんでも、種村の作品が“意味不明”だというのだ。
種村といえば、『神風怪盗ジャンヌ』(集英社)などの大ヒット作、また最近ではアプリゲーム『アイドリッシュセブン』のキャラクターデザインの原案で知られる大人気マンガ家。そんな種村は、同人活動もさかんに行なっていて、『刀剣乱舞』に関しては、pixivなどにイラストを投稿したり、昨年には同人誌を2冊制作している(うち1冊はイラスト本)。
そんな種村の『刀剣乱舞』マンガが収録された『刀剣乱舞学園』だが、Amazonレビューに「種村有菜さんの作品が本当に意味不明でいらない」などと主に種村に対する酷評が殺到しており、それが今になってTwitter上で話題に。「種村有菜の作品がどれだけひどいのか逆に気になる」という声も多数見受けられる状態だ。
かく言う筆者も、幼いころは種村有菜作品に大変お世話になった身。当然、種村の『刀剣乱舞』マンガも気になったので、現物を手に入れて読んでみた。
本を開いてすぐ目につくのは、種村の燭台切光忠&大倶利伽羅&鶴丸国永&へし切長谷部のカラーイラスト。さすが、絵の細やかさなどに定評のある種村だけに、美麗なイラストだ。しかし、残念ながら今回話題になっているのはイラストではなく、描き下ろしマンガ。問題のマンガは、「刀剣乱舞学園幽霊騒動危機一髪!!」というタイトル(12ページ)。
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あらすじをざっと説明すると、粟田口の短刀が刀剣乱舞学園に現れた幽霊に襲われ、燭台切光忠&大倶利伽羅&鶴丸国永&へし切長谷部の4人からなる生徒会が、三日月宗近からの依頼で幽霊騒ぎを解決するというもの。作中には弟たちが幽霊に襲われ、我を忘れたのか、真っ黒な妖怪(?)になってしまった一期一振、幽霊にとりつかれたのか(?)、目を光らせながらルンバを踊る山姥切国広が登場する。
個人的には、“黒い何か”になってしまった一期一振が衝撃的だったが、ネットでも言われていたとおり、たしかになんだか意味がよくわからないマンガ。夜の学校を見回りする生徒会+黒い一期一振→ルンバを踊る山姥切国広に遭遇→「落ち着け山姥切!!」とへし切長谷部がなぜか山姥切国広に抱きつく→しかし山姥切国広はへし切長谷部の指に噛みつき、気絶したへし切長谷部をさらう→宙に浮く山姥切国広の足を燭台切光忠がつかみ、その燭台切の足を大倶利伽羅がつかみ、大倶利の足を鶴丸国永が「Oh!倶利伽羅」とつかむ→「Oh!倶利伽羅」発言に一同爆笑→その隙に黒い一期一振が山姥切国広にどっかーんっと突っ込み、なぜか騒動は解決……という流れだ。
マンガを読むに、おそらく種村はギャグマンガにしたかったのだろうが、いろいろスベってる気もするし、そもそも話の本筋がよく見えない作品となってしまっていて、「本当にプロのマンガ家なの」「意味がわからない上にまったく笑えない」という声が上がるのも仕方なしというところ。まあ、一般的にギャグマンガは難しいとも言われるし、種村は過去に本格的なギャグマンガは執筆していないが……。
そんな種村だが、現在はギャグマンガの巨匠・赤塚不二夫の『おそ松くん』が原作のアニメ『おそ松さん』に熱中。「マーガレット」6号(集英社)に“推し松”のイラストを寄稿したり、同人サークル「目黒帝国」名義で『おそ松さん』のBL同人を制作し話題だ。しかし、『うたの☆プリンスさまっ♪』に『進撃の巨人』、『刀剣乱舞』、そして『おそ松さん』の同人と、流行作を追う傾向にある種村に一部では批判の声もあるようだ。
本稿では特別触れなかったが、作品の評判だけでなく、たびたびの騒動でいわゆるアンチも多い種村。だが、圧倒的な支持を集めている大人気マンガ家であるのも事実。それだけに、作品に「意味不明」とらく印を押されてしまうのは、ファンも残念な気持ちになってしまったのではないだろうか。
(文/蒼木ジュン)
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