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海外のサイト「Kotaku」が、「アニメの東京VS本物の東京」という記事を掲載し、話題になっている。サイト内では、『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』などで知られる新海誠監督が、2013年に発表した劇場映画『言の葉の庭』を紹介し、そのアニメ画像と、モデルとなった場所の実写画像を交互に載せ、アニメがいかに本物のように、繊細に作られているかを説明している。
この記事をみた海外の人々は「私これ大好き! 『言の葉の庭』は見なければいけないね!」「僕が見たアニメの中でこれがベストだよ」「これはほんとにアニメなのかい?」と、驚きの反応を示している。しかし中には「これの何が印象的なんだ? 写真をトレースしてるだけじゃないか」「無駄に精密すぎるだろ」といった意見も上がっているようだ。この海外の反応を受け、国内からは「比較の実写が素晴らしい、よくここまで再現できたものだ」「なるほど、と思う反面、やっぱアメリカ人な感性だな、とも思う」といった感想を口にしている。
Kotakuとは主にTVゲームを扱うブログサイトで、アメリカ、日本、オーストラリア、イギリスなどに編集者が在住し、Nick Denton氏がそれらを管轄していると言われている。また、サイト名の由来は「オタク」に「小」の意味を追加したもの。同サイトは最近では「任天堂の初スマホゲーム」「今年のベストゲーム開発者」「『ワンパンマン』のハードトレーニンシーンを再現」といった記事を上げている。
また、『言の葉の庭』は以前にも、「名作映画をファミコンゲーム風に8bitで表現した」という動画で注目を浴び、最近では『千と千尋の神隠し』の映像も作り、再生回数があっという間に100万回を超えるなど話題になっている、海外の映像作家やアニメーターの映画集団「CINEFIX」が発表した、最も美しいアニメトップ10でもジブリやディズニー作品を抑え、1位になっている。
『言の葉の庭』がここまで絶賛される理由となっている絵の美しさは、最初から絵をデジタルで描くことによって、コンピューターを駆使して自由自在に編集することを可能にし、一般のアニメーションの塗りに加えて、さらに反射色を加えることで、極限までにリアルな画面作りを可能とした、という手間暇をかけた作画のたまもの。
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しかし、『言の葉の庭』はあまりにもリアル過ぎるがゆえに、しばしば国内外から「実写に限りなく近づけることに意味があるのか?」「ここまで実写に忠実にするとそもそもアニメにする必要あんのかって話になるよね」といった指摘も受けている。だが新海監督は、人の手によって描くことによって、作り手の世界の見え方が絵に表れる、それが絵の力だ、と語っている。
近年アニメが3DCGに移行していっているなかで、このように海外で日本のアニメが注目を浴びるのは非常に誇らしいことではないだろうか。「『言の葉の庭』は絵はよかったよな、絵は」という声もあるが、絵だけでなくストーリーも絶賛される作品が登場すれば、その時はじめて絵の素晴らしさも正当に評価されるのかもしれない。
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