夫に「早く死ね」といわれる妻…義理の親にかけられた「生命保険」の行方は?

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2016年04月04日 10:22  弁護士ドットコム

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義理の親との間にトラブルを抱えていない人は珍しいかもしれません。弁護士ドットコムの法律相談コーナーには、いびりや子育てへの過干渉、「憎い姑と縁を切りたい」など、義理の親に関する相談が数多く寄せられています。


今回、ご紹介する相談は、「義理の親が嫁である私にいろいろと保険をかけているみたいです」という、ちょっと驚く内容です。


相談者によれば、保険の種類は、「亡くなった時などにおりる保険やガン保険など」で、受取人は夫の親となっています。ご相談者が自分で保険に入ろうとすると、「勿体ないからやめた方がいい」と止められたそうです。さらには最近、冗談か本気かはわかりませんが、夫から「早く死ね」と言われることもあるといいます。


夫とその親が自分の死を望んでいる・・・。そんな疑念を抱いてもおかしくないこの状況。


不安を募らせたご相談者は、夫の親が自分にかけている保険について、「万が一離婚した場合には、私にかけられている保険は有効なままなのでしょうか? それとも姓も変わり、家族ではなくなることで無効になるのでしょうか?」と質問しています。


今回のように義理の親から保険をかけられているというケースで、仮に離婚した場合、それまでかけていた保険は無効になるのでしょうか? 河内 良弁護士に聞きました。


A. 重要なのは、契約に同意したかどうか


質問者が保険の内容に疑問を感じているとしても、保険会社に対して契約の効力を争う行動を取らなければ、保険会社は契約に問題があることを知り得ません。そのため、契約は有効なまま取り扱われることになります。ですので、まずは「この保険契約には問題がある」と、保険会社に知らせる必要があります。


では、保険会社に知らせた場合に、契約の効力はどうなるのでしょうか。


「契約者は夫(もしくは夫の親)、被保険者は質問者様」という場合、死亡保険契約の締結には被保険者の同意が必要とされている(保険法38条、旧商法674条1項)ことから、質問者様が本当に同意していないのであれば、死亡保険契約は、離婚したか否かにかかわらず、無効ということになります。


なお、がん保険については保険法67条に同様の規定がありますが、旧商法には同様の規定がないことから、がん保険の締結が平成22年4月1日以降にされていなければ無効になりません。


離婚した場合には、保険契約者に対して保険契約の「解除請求」も考えられます(保険法58条1項)。質問者様が、「実は同意をした」という覚えがある場合には、同意がないことを理由とした契約無効の主張はできませんが、離婚すると「解除請求」ができる可能性もあります。


ただし、これは保険契約者に対する請求であって保険会社に対するものではありません。また、現在の保険法が施行された平成22年4月1日以降に保険契約が締結された場合に限られ、同年3月31日以前の締結の場合には解除請求はできません。 現実的な方法としては、まずは別居をして、離婚調停を申し立て、その調停の中で保険契約を解約するように求めていくということになると思われます。




【取材協力弁護士】
河内 良(かわち・りょう)弁護士
大学時代は新聞奨学生として過ごし、平成18年に旧司法試験に合格。平成28年3月に独立した。趣味はドライブと温泉めぐり。
事務所名:河内良法律事務所


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  • なんだこの栗田貫一臭漂う夫は…。信じられん…。
    • イイネ!9
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