カロテノイドの血中濃度と生活習慣病の関係を調査
画像はリリースより昔から「野菜や果物はカラダにいい」とは言われているものの、どれだけ健康に効果があるのか実感するのは難しいですよね。例えば、初めて機能性表示食品として認められた果物「三ヶ日みかん」は、冬場によく口にする温州ミカンのひとつ。温州ミカンに多く含まれる「β-クリプトキサンチン」というカロテノイド色素には抗酸化作用があり、骨粗しょう症の予防につながることが認められています。そして最近、このβ-クリプトキサンチンがほかの生活習慣病予防にも効果があることが確認されました。
農研機構果樹研究所は、浜松医科大学や浜松市とともに、ミカンの生産地である浜松市三ヶ日エリアの住人を対象に2003年から継続して栄養疫学調査を行っています。研究グループは、β-クリプトキサンチンをはじめとするカロテノイドの血中濃度と生活習慣病の発症率を、10年にわたって追跡調査。その結果、糖尿病、脂質代謝異常症、肝機能異常症の予防にも有効なことが明らかになりました。
糖尿病や脂質代謝異常症、肝機能異常症の発症リスクに大きな差
追跡調査が完了したのは910名。調査開始時点ですでに該当の生活習慣病を発症している被験者を除いて、β-クリプトキサンチンの血中濃度が「低い人(平均0.5μM)」、「中程度(平均1.5μM)」、「高い人(平均3.5μM)」の3つのグループに被験者を分け、10年間でどれだけ生活習慣病を発症したかを調査。その結果、高濃度の被験者さんは低濃度の被験者さんに比べて、2型糖尿病で57%、脂質代謝異常症※1で34%、非アルコール性肝機能異常症※2で49%、発症リスクが低いという結果になりました。そして、血中濃度が高い人の方が発症リスクは低いという結果は、喫煙や運動習慣、食生活などの影響を考慮しても同様だったのです。
※1 脂質代謝異常症の診断基準は、空腹時の血中中性脂肪値が150mg/dL以上、もしくは善玉コレステロールであるHDLコレステロールが40mg/dL未満
※2 肝機能異常症の診断基準は、血中ALT値が31IU/L以上
これだけ差が出るとなるとぜひとも積極的に摂取したいところですが、どれだけミカンを食べれば効果が出るのでしょうか。被験者さんに1日あたりのミカンの摂取量を尋ねたところ、血中濃度が中程度のグループでは1〜2個、高いグループでは3〜4個食べていたとのこと。この程度なら無理なく続けられそうですね。(宮坂方子)
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