自宅と病院で亡くなった進行がん患者さん約2,000名の生存期間を調査
画像はリリースよりあなたはどこで死を迎えたいと思いますか?恐らく、多くの人が「自宅」と答えるのではないかと思いますが、たとえば進行がんの場合、治療設備のない環境で過ごすことで、寿命を減らしてしまうのではないかという懸念が頭をもたげます。家族や医療従事者からしても、本人が自宅で療養したいと希望した際に、受け入れるべきか否か判断が難しいのではないでしょうか。
実際に、自宅で過ごすのと病院で過ごすのとでは、どれくらい生存期間に差があるのか。筑波大学と神戸大学が検証を行いました。この研究は、国内の医療機関58施設の緩和ケア病棟に入院した患者さんや、在宅緩和ケアを含めた何らかの緩和ケアを受けたがん患者さんを対象に行われました。解析対象となったのは2,069名。客観的な手法に則って予測された生存期間が日、週、月という3つの層に患者さんを分け、実際の生存期間と比較しています。
日・週単位では自宅の方が生存期間は長い
検証した結果、日単位で生存期間が予測されている患者さんの層では、自宅で亡くなった患者さんの平均生存日数は13日、病院で亡くなった患者さんは9日間(−4日間)でした。週単位では、自宅で亡くなった患者さんは36日間、病院で亡くなった患者さんは29日間(−7日間)と、自宅で亡くなった患者さんの方が生存期間は長いという結果になりました。一方、月単位では、自宅で亡くなった患者さんは59日、病院で亡くなった患者さんは62日(+3日間)とほとんど差がありませんでした。
また、自宅で亡くなった患者さんは、病院で亡くなった患者さんよりも点滴や抗生剤の投与といった治療行為が少ないことも分かっています。今回の調査結果には、症状の重症度や家族の支援体制などの要素が織り込まれていないため、一概に自宅の方が長生きできると結論づけることはできません。しかし、進行がんにおいて自宅で療養することは、決して寿命を短くするものではないということだけは言えそうです。(宮坂方子)
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