蚊を介した感染症の流行再び?新しい統計モデルで「ジカ熱」の伝播リスクを予測

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2016年04月21日 18:30  QLife(キューライフ)

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中南米でジカ熱が流行。胎児に小頭症のリスク

画像はリリースより

 2016年2月、ブラジルをはじめとする中南米で発生した「ジカ熱」の流行を受け、世界保健機構(WHO)が国際的な流行を懸念した緊急事態宣言を行いました。ジカ熱の原因となるジカウイルスは、昨年話題になった「デング熱」と同様、シマカ(蚊)を介して感染するもので、数日間の潜伏期間を経て発熱や筋肉痛、関節痛などを引き起こします。

 デング熱に比べると症状は軽く、無症状のケースも多いそうですが、妊娠初期の女性が感染すると胎児に影響を与え、小頭症を発症するリスクが高いと報告されています。遠い地球の裏側での出来事とは言え、すでに日本でも複数の感染者が認められており、今後どれだけ流行する可能性があるのか気になるところです。

 これまでも、気象データなどから媒介蚊の生態を調査し、地理情報システム上でジカウイルスの伝播状況をシミュレーションするような研究は行われていました。しかし、実際の輸入・国内伝播リスクは人の移動やウイルスの定着のしやすさといった要因も加味する必要があり、正確な予測は難しいのが実情でした。しかし、北海道大学の研究チームが新たな統計モデルを開発。過去の輸入状況データから輸入リスクを、デングウイルスやチクングニアウイルスなどの流行データから国内伝播のリスクをそれぞれ予測しました。

熱帯・亜熱帯地域ほど伝播リスクが高い傾向に

 その統計モデルによると、時間の経過とともにほとんどの国がジカ熱を輸入する可能性があり、日本における2016年のジカ熱伝播リスクは16.6%と推定されました。国別に見ると、これまでにデングウイルスやチクングニアウイルスが国内伝播した実績がある熱帯・亜熱帯地域の国においてリスクが高くなっており、メキシコで48.8%、台湾で36.7%。一方、温帯地域の英国では6.7%、オランダでは5.3%と日本よりも低い数値を示しました。

 現状、日本ではさほど高いリスクはないと言えそうですが、今年はブラジルでオリンピックの開催が予定されており、海外渡航者が増えることが予想されます。人の移動が増えれば当然伝播リスクも高ますから、妊婦さんは予防の意識を強く持った方がよさそうです。(QLife編集部)

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