「すべては計算どおり」!? 春アニメ屈指の好スタートを切った『リゼロ』、注目はやっぱりヒロイン・エミリア!【春アニメ・スタッフインタビュー】

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2016年04月29日 21:11  おたぽる

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おたぽる

(C)長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活製作委員会

 なぜか異世界へと迷い込んだ主人公、ナツキ・スバル。彼は銀髪の美少女エミリアと出会い、ふとしたことから事件に巻き込まれてしまう。そこで彼は、命を落とすとなぜか時間が巻き戻るという、 “死に戻り”とでも呼ぶべき自分の能力に気づく。幾度もの“死に戻り”を超え、スバルはエミリアのために、悲劇を回避すべく奮闘する――!



 話題作・注目作が多い春アニメの中でも、放送第1話目がやる気満々の1時間拡大枠、しかも“死に戻り”という新しいタイプのタイムリープの仕組みと特異性をしっかりと丁寧に描き、注目を集めた『Re:ゼロから始める異世界生活』(以下、『リゼロ』/テレビ東京系)。原作は小説投稿サイト「小説家になろう」(以下、「なろう」)にて掲載され、その後KADOKAWA・MF文庫Jから刊行された、長月達平の同名小説。



『リゼロ』が好スタートを切れた理由、そして今後の見どころとは? 『オーバーロード』(15年/AT-X、TOKYO MX)、『ノーゲーム・ノーライフ』(14年/AT-X、TOKYO MX)といった作品も手がけた、KADOKAWAの田中翔プロデューサーに話を聞いた。



―― 原作に目をつけたキッカケ、アニメ化に至る経緯から教えてください。



田中翔プロデューサー(以下、「田中」) 『ノーゲーム・ノーライフ』もそうですが、当時メディアファクトリーだった頃に、MF文庫Jの中でアニメ化したいと思えるタイトルを探していて、アンテナに引っかかったという感じです。



―― それはどんなポイントが引っかかったのでしょうか?



田中 過去にライトノベルを何作かアニメ化してきて、自分なりの選定基準に「鳥肌が立つようなカッコいいセリフがあるかどうか」というのがあります。ライトノベルのアニメ化を検討するときは、その一点に絞って考えているのですが、『リゼロ』には、原作を読んでいたときに、「これだ!」、「このセリフを聞いたユーザーは、きっとこのお話を視聴してくれる」と思えるセリフがありました。



―― 「小説家になろう」でも人気があった作品ですが、出会ったのはもう単行本になっていたころですか?



田中 いえ、最初はネット上で読みました。というのも、書籍の担当編集とは過去にも、一緒に仕事をしていたので、密に連絡をとっていたんです。どんな作品を世に出したら面白いか、今こんなのを考えているよ、これは面白いよね、というお話をしていたときに、『リゼロ』の名前も出てきていまして。



―― 「なろう」で人気が出てきたころ、ということでしょうか。



田中 いえ、実は『リゼロ』は、「なろう」で圧倒的に人気がある作品ではなかったんですよ。「なろう」でトップクラスの人気作品と比べれば、当時の『リゼロ』も『オーバーロード』も、コアなファンはついているけれど、圧倒的な人気やPV数を記録しているタイトルではない、いわゆる“発掘型”のタイトルだったと思います。




■4話以降の“引き”は1話目よりもすごい!



―― では『リゼロ』のどんなところがアニメ化に向いていると思われたんでしょうか。



田中 残念ながら『リゼロ』はそれほどアニメ化に向いた作品ではないと思います。正確に言えば、ネット小説は現状のいわゆるTVアニメには、あまり向いていないと考えていまして。たとえば、純粋なライトノベルであれば、1巻の売り上げが今後の刊行に影響してくるので、一冊の中に起承転結がきちんとあり、最大のウリを1巻のうちに投下します。TVアニメシリーズの放送序盤に盛り上がる山があるからこそ、TVアニメを作る上で構成がしやすいというメリットがあるのですが、ネット小説は明確な区切りがありませんから。



―― では、『リゼロ』はアニメへどう落とし込もうと考えられたんですか?



田中 ラノベをアニメにしていくという代わり映えのしない流れとは違うことをしてみたいと思い、ラノベという方程式にあてはまらないものをTVアニメにしたらどうか、という中での企画立案でしたし、それは『オーバーロード』も『リゼロ』も一緒です。本来TVアニメに向いていない『リゼロ』のような作品をどう料理したら面白いTVアニメにしたらどうなるのかな、と。



―― 制作が進行していく中で、いざやってみると一番大変だったというのは?



田中 毎話ごとに次週に向けての引きを作るという、構成が大変でしたね。毎回の脚本の中で、いかに盛り上がりと引きを作るかということには注意しました。



―― 1〜3話目に関していうと、それが上手い具合にハマったのかなと思いました。



田中 いえ、それが苦労したのが1〜3話だったんですよ。4話目以降のほうが、よりハマった感じがありますから、注目してほしいです。



―― 1話目は1時間に枠を拡大しての放送で、視聴者にとって続きが気になる引きになっていたと思いますが……。



田中 いえ、あれはもう「ここで切ってしまったら、続きを誰も見てくれない!」という一心でしたね。物語の構成上、どうしてもあそこまで見せないと魅力を伝えられないので、頑張りました。



―― 3話で原作1巻までの物語を描かれました。ただ、原作ではこれ以降は、かなり長いお話が続きます。構成、切りどころはより難しくなったのではと思いますが。



田中 慣れもあると思いますが、各話できちんと見せ場を配置することができたと思います。あと、1〜3話だと登場キャラクターがまだ少ないというのも、構成が難しかった理由としてあるかもしれません。1〜3話目にはプロローグ的な面もありましたし、原作ファンが喜ぶ人気キャラクターが4話目以降から続々と登場してきますので、期待していただければと思います。




■原作よりもより可愛く存在感を増すヒロイン・エミリアたん



―― たしかに2巻ぐらいから、キャラクターが一気に増えていきます。



田中 エミリアがヒロインとして、ずっと立ってはいるんですけど、レムの方がヒロインっぽく感じることは確かです(笑)。ただ、この小説のヒロインはエミリアであることは、最初からブレてはならないものだと思っています。おそらく小説を読んでいた印象よりも、アニメのほうがエミリアの存在感があると受け取ってもらっていると思いますし、4話以降、よりそれが顕著になってくると思います。彼女がどんな影響をスバルに与えているのか、彼女との関係性が変化する展開も後半にありますが、そこへ向けてどう変化していくのか。そういったことを注視して、構成を考えています。



宣伝担当 宣伝も本当は最初からレムを推すか、という考えもなくはなかったんですけれど、初登場が4話ですし、1〜3話でしっかりエミリアを軸として描かれていますから。やはりきちんとエミリアをヒロインとして推していきたいなと。



―― 縦軸を意識して、エミリアをしっかり描いていくと。



田中 『リゼロ』は、異世界にやってきた無力な主人公が、初めて助けてくれた彼女のために頑張るというお話ですから。そこの軸は大切にしたいですね。



―― 「なろう」系異世界ものというと、主人公の「俺TUEEEE!」みたいな作品が多かった時期もありますが、『リゼロ』は一貫してスバルに対して厳しい展開ですよね。アニメファンの反応は気にされますか?



田中 「俺TUEEEE!」に落とし込んでいる作品も多い中で、やっぱりそういった定型から外したほうが新鮮味はあるだろう、それに厳しい物語が反発を買うよりも先に、“死に戻り”のほうが注目を集めるだろうと思っていましたから、そこはあまり……。むしろWHITE FOXさんが以前手がけられた『シュタインズ・ゲート』(11年)シリーズや、前クールにも『僕だけがいない街』(フジテレビ系)がありましたから、「またタイムリープものか!」と言われることを心配していました(笑)。



―― まあ、タイムリープは古典SFの時代からよくあるネタですし。



田中 あと心配していたのは、スバルの性格でしょうか。原作のときから言われているんですけど、等身大の主人公で、言動に痛々しいところがある。自分と重ねてしまうと、よりイライラするみたいなところがあるので、いわゆるアンチは発生しやすいのかなと。それはデメリットでもありますが、原作の持ち味かつ魅力でもあることは間違いない。あまりウザくなりすぎないように、使う言葉や演出、間を意識しています。



―― タイムリープものですから、もちろんスバルの意識の中では違う物語ですけど、どうしてもパッと見では同じようなシーン、風景が繰り返されることになります。アングルやレイアウトはかなり意識したのではないですか?



田中 いえ、1〜3話はスバルがその都度違う行動をとっていたので、ドラマの進行の方を気にしてました。ただ、4話以降はロズワールの屋敷の中で物語が進行しますから、何も考えないでいると、全部同じシーンに見えてしまう危険性はあったと思います。そこの構成や演出は工夫を考えましたね。



―― やっぱり監督や美術のスタッフさんも注意されていたんですね。



田中 退屈しないで見てもらえるようにと、話の緩急、レイアウトの工夫は、地味かもしれませんけど、一生懸命やっています。




■すべて計算どおりです(笑)



―― 実際1〜3話が放送されて、アニメファン、原作ファン、それぞれいろいろな声が耳に届いていると思いますが、ざっくり手応えはいかがですか?



田中 若干、もしかしたら厳しい反応をいただくかもと思っていたところを、面白いと言って見てもらっているので、ありがたいなと思っています。



―― それは例えばどんなところですか?



田中 2話目が物語自体は動かない、比較的平坦なエピソードだったので、ここで飽きられてしまうのでは、という不安も少しあったんですが、そこも“謎解き”の一環として楽しんでもらえたのが、「ああ、なるほどな」と思いました。こちらとしては動きを入れたり、次が気になるドラマを工夫して構成したつもりでしたが、物語を楽しみ、考察してくれるのはうれしい驚きでした。



―― OPも話題となっているようです。



田中 渡邊(政治)監督の中にも「逆再生」というテーマは、しっかりあって、ああやってOPの最初と最後がつながるような絵コンテを切ってくれましたが、見応えのある良いOPになってくれたなと手応えはありますね。



―― ネットの一部では音のほうも、逆再生してもちゃんと音楽として聴けると話題ですが……。



田中 ああ、それは全く考えていませんでした(笑)。そこまで考えていなかっ……いや、考えていましたよ(笑)。計算どおり、かっこ笑い、と書いておいてください(笑)。



―― 承知しました。その渡邊監督をはじめ、今回のスタッフさんがたは、どんな意図で揃えられたんですか?



田中 監督はドラマもアクションもしっかり描ける人ということで、お声かけさせていただいて。(キャラクターデザインの)坂井久太さんはもう、女の子が抜群ですから。可愛い女の子が描けるということで、ご依頼させていただきました。



―― シリーズ構成の横谷昌宏さんは?



田中 コメディをいかに盛り込むか、ということを考えました。パッと見と違って『リゼロ』は意外とシリアスなので、コメディとシリアスを両立させて、タイムリープものの構成を考えることができ、さらに1話ごとの盛り上がりも考えてくれる、中二病的要素も汲み取ってくれる人って誰? と自分に問いかけたときに、横谷さんしかいないかな、と。



―― WHITE FOXさんとは、今作で初めてご一緒されたということですが。



田中 メディアファクトリーとしては初めてですが、ただ『シュタインズ・ゲート』では、KADOAKAWAも製作委員会に名を連ねていますから。全くお世話になっていなかったわけではないんです。ゼロから作品を、という意味では確かに初めてですが。



―― 実際、一緒にお仕事されてみていかがですか?



田中 作画も進行も本当にすごいので、なんとかこのまま最後まで一緒に走り抜けられたと……。2クール作品ですから、先は長いんですけれど(汗)。



―― 第1話が1時間枠で、しかもそれがすごく有効であったと思います。こういった仕掛けは、2クールの中でさらに予定ありますか?



田中 『リゼロ』は実は今後、特殊OP・EDの回数が多い作品になっています。そもそも枠をフルに使って、尺をかなり長くとっています。原作ファンならご存知の、ターニングポイントになるようなエピソードでは、尺を使って、しっかり描いていきますし、それなりに仕掛けもありますから、見て、気づいてもらえるとうれしいですね。



―― ただ、エミリアが予想以上に可愛かったりしたこともあって、ターニングポイント以外のエピソードも、個人的には楽しみです。



田中 屋敷編ではレム&ラムがついに登場しますが、そこでもエミリアが可愛いですから。期待してください。もちろん人気キャラであるレムの心情の変化も、一つ注目していただきたいところではありますが、まずはやっぱりエミリアかなと。




■『Re:ゼロから始める異世界生活』
・公式サイト http://re-zero-anime.jp/
・放送情報
 テレビ東京毎週日曜日25:05〜
 テレビ大阪毎週火曜日25:35〜
 テレビ愛知毎週木曜日26:05〜
 AT-X    毎週金曜日夜10:00〜ほか
・Blu-ray&DVD第1巻は6月24日に発売!



(C)長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活製作委員会


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  • 一話からこってりとくどくて見るのやめました。異世界に行く一般人(?)ばかりじゃなくて、もっと違うのやってくれ…
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