ウディ・アレン「小児性愛」疑惑を実の息子が告発

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2016年05月12日 19:51  ニューズウィーク日本版

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 長年、ハリウッドにくすぶり続けてきたスキャンダル、ウディ・アレン監督(80)の小児性愛疑惑がまたまた波紋を広げている。アレンと言えば、昨日開幕したカンヌ国際映画祭でオープニング上映された『カフェ・ソサエティ』も手掛けた世界的な映画監督。


 その華やかなプレミアと同日、アレンの息子ローナン・ファローは米芸能誌ハリウッド・リポーターにコラムを寄稿、「巨匠アレン」故に疑惑に蓋をしてきたとして、メディアを糾弾。アレンの才能にひれ伏すハリウッドのスターたちにも批判の矛先を向けた。


 人権派弁護士・活動家で米政府の顧問を務めたこともあるローナンは、ミア・ファローと事実婚関係にあったアレンの実の息子とされているが、容姿がアレンとまったく似ていないため、ミア・ファローの最初の夫フランク・シナトラの血を引くのではないかとも憶測されている。 「僕は姉の言い分を信じる」――ローナンはコラムでそう断言している。姉の言い分とは、彼の義理の姉、アレンとミア・ファローの養女ディラン・ファローの訴えのことだ。ディランは92年、幼少期にアレンから性的虐待を受けていたとミア・ファローに訴えた。


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 当時、アレンはミア・ファローの養女スン・イーと恋愛関係にあり、ミア・ファローとは破局を迎えて、泥沼の親権争いの真っ最中だった。このときは、ディランの訴えを聞いてミア・ファローがいったんは刑事告訴に踏み切ったものの、その後訴えを取り下げ、アレンは性的虐待では一度も起訴されていない。


力のある監督には逆らえない?


 長い年月を経て、ディランが再び告発に踏み切ったのは14年。アレン監督の映画『ブルージャスミン』がアカデミー賞にノミネートされていた時期だ。ディランはニューヨーク・タイムズ電子版に書いた告発記事で幼少期のおぞましい体験を語り、アカデミー賞の選考でアレン作品に投票しないよう業界関係者に訴えた。


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 疑惑がもち上がった当初から、親権訴訟で有利になるためのミア・ファローのでっち上げだとして虐待行為を一貫して否定してきたアレンは、ディランの記事にすぐさま反論した。今回ローナンが問題にしているのは、ニューヨーク・タイムズがアレンの反論にはディランの記事の倍のスペースを割き、しかもより権威ある紙面の目立つページに掲載したことだ。


 有力メディアはアレンのような影響力が大きい人物を敵に回すことを恐れ、虐待などブラックな一面が暴かれても、無視するか、告発の信憑性を貶めるような伝え方をすると、ローナンは批判する。


 彼は義姉の告発に当初は距離を置いていたが、自分の無責任さを恥じて、実父に正面対峙する決意をしたという。ハリウッド・リポーターにコラムを寄せたのは、同誌が最近特集したアレンのインタビュー記事で虐待疑惑にいっさい触れていなかったからだという。  ローナンのコラムが同誌の電子版に掲載された11日には、カンヌ国際映画祭が開幕し、オープニング作品としてアレンの新作『カフェ・ソサエティ』が上映された。


キラ星のような崇拝者たち


『ブルージャスミン』に出演したルイ・C・Kやアレン監督が初めて手掛けるTVシリーズに出演するマイラー・サイラスら、キラ星のようなスターたちがアレンと喜んで仕事をする事実に「姉は傷ついている」と、ローナンは書いている。そして、ジェシー・アイゼンバーグとクリステン・スチュワートら『カフェ・ソサエティ』のキャストには「メディアが監督について答えにくい質問をすることはないから安心していい」と、皮肉たっぷりに請け合っている。


「メディアは伝統と権威にあぐらをかいて、なかなか変わろうとしない。(大物の)罪を問わず、沈黙するのも、古い体質のせいだ」と、ローナンは述べている。「こうした姿勢は危険でもある。『勇気を振り絞って告発しても信じてもらえない』と、被害者を泣き寝入りさせることになる」



ザック・ションフェルド


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  • ロマン・ポランスキーみたいに13歳の少女をレイプしたんじゃないからいいんじゃねぇ?
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