近視の子ども、将来の失明リスクを眼底検査で診断

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2016年06月22日 12:00  QLife(キューライフ)

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世界最大の強度近視専門外来を有する東京医科歯科大学が研究

画像はリリースより

 眼球がいびつに変形することにより、網膜や視神経が障害され失明する病的近視は、失明原因の20%を占めて最多といわれています。近年では、日本を含む東アジア諸国で子どもや若者の近視が急激に増加していますが、子どもの近視が進むと、将来的に失明原因となる病的近視にまで至るのか、あるいはメガネなどを装用して矯正すれば一定の視力を保つことができるのかは不明でした。

 そこで、東京医科歯科大学の大野京子教授と横井多恵助教の研究グループは、成人してから病的近視によって失明した患者について、子どもの頃からの眼底所見をさかのぼって調査。将来的に病的近視の発症が予測できるような特徴的な眼底所見が、子どもの頃に見られるかどうかを調べました。

 同大の眼科には、登録患者約4,000人を擁する世界最大の強度近視専門外来があります。今回の調査は、その外来に通院中の病的近視による視覚障害患者のうち、初診時の年齢が15歳以下で、経過観察期間が20年以上という条件を満たす患者を対象に行われました。すると、成人以降に病的近視を発症した患者の83%で、小児期に特徴的な眼底所見が見られることがわかったのです。

小児期から視神経周囲に「びまん性萎縮病変」

 83%の患者の小児期に見られた特徴は、視神経周囲のびまん性萎縮です。「びまん性」とは、病変が広範囲に広がっている状態を指します。将来、病的近視になる子どもには、小児期からすでに視神経周囲にびまん性萎縮病変がみられ、眼底所見が通常の学童近視とは異なることが、今回の調査で明らかになりました。

 この研究成果は、将来病的近視による失明に至る患者では、小児期から一般の学童近視と異なる眼底所見の特徴を示しており、「視神経周囲のびまん性萎縮」が将来の病的近視発症を予測する重要なサインであることを解明したものです。これにより、将来病的近視による失明を起こしうるハイリスクな子どもと、眼鏡矯正などを行えば良好な視力を維持できる通常の学童近視とを、早期に鑑別することが可能となり、通常の学童近視に対しては失明に対する不安を和らげるような指導を、病的近視発症のリスクが高い子どもには、進行を抑制する予防的介入を行うことが可能になると期待されます。(林 渉和子)

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