銃乱射事件に揺れるアメリカ――。つい先日にもフロリダ州オーランドで容疑者を含む50人が死亡するというショッキングな銃乱射事件があったばかりだが、このタイミングで銃乱射事件をパロディにしたゲームが登場している。
■「祈り」の力だけでは銃犯罪は抑止できない!?
以前おたぽるで、米大統領候補・トランプ氏にそっくりなキャラクターがアメリカ=メキシコ国境に現れる風刺ゲーム『Trump Toss』を紹介したが、同ゲームシリーズ「GOP Arcade」に新作が加わった。そのひとつが銃乱射事件を題材にしたパロディゲームの『Thoughts & Prayers:The Game!』だ。
ゲームはいたってシンプルなブラウザゲームで、無料で公開されている。思慮(キーボードのT)と祈り(同じくP)というスピリチュアルな力で、全米各地で起る銃乱射事件をできるかぎり阻止することを目指すゲームだ。ゲームの最中に3番目のボタンである「銃器販売禁止(ban assault weapons sales)」が出現するのだが、うかつに(!?)銃器販売を禁止してしまうと、「あんたはアメリカ人じゃない!」や「NRA(全米ライフル協会)の寄付金次第だ!」というブラックジョークまがいの言葉が画面に表示される。プレイしてもらえばわかるが、キーを素早く押して「思慮」と「祈り」の力を数多く放っても、褒められこそすれ実際には人命を助けることはできないようだ。このへんがまさにパロディということだろう。
製作元であるEveryday Arcadeの共同創設者で開発者の1人でもあるマイク・ラシェ氏が「The Daily Dot」の取材に応えているところによれば、フロリダ州オーランドの事件の後すぐに、仲間の開発者らと話し合いこのゲームに制作に取りかかり、数日で完成させたということだ。GOP Arcadeのほかのゲームと同じく“あほゲー”であり、パロディゲームではあるのだが、この『Thoughts & Prayers:The Game!』は多くの反響を呼び、討論コミニュティ「AR-15」のフォーラムの議題にもなっている。ゲームのコンセプト自体は、おおむねポジティブな評価を受けているという。
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銃乱射事件が起った現場では、その後多くの人が献花や祈りを捧げにやってきてその様子がニュースにもなるが、「祈り」の力だけでは抑止することができないというメッセージが風刺ゲームを介して突きつけられることになったといえるだろう。
■銃規制問題など政治的争点を風刺ゲームで学ぶ
Everyday Arcadeが大統領選終了まで続けるというこの無料のパロディーゲームシリーズ「GOP Arcade」に、今回はほかにも『Get Trump's Taxes!』と『Science Fighter』が加わっている。
『Trump Toss』に続き、またしてもトランプ候補(らしきキャラクター)が登場する『Get Trump's Taxes!』は、候補者らしき人物が持っている所得税申告書類を奪おうと奮闘する内容だ。しかしこの人物から税務書類をひったくるのは困難をきわめるようだ。
『Science Fighter』は、もっともらしいレポートを作り上げては世の中にショックを与え一儲けしようとする科学者を銃殺する横スクロールシューティングだ。ジャンプで障害物に対処し、銃撃で科学者たちを殺しながらゲームが進む。選挙寄付金を手に入れることもでき、聖書をゲットした際には、一定の間“神モード”のハイテンション状態になる。ザコ科学者キャラを倒していき、要所要所でダーウィンなどのボス科学者キャラが登場するようである。パロディゲームとはいえ、ゲームシステムはしっかりしていて普通に楽しめそうだ。
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これらのゲームを通じて、銃規制問題など政治的争点にもっと意識的になってもらいたいとラシェ氏らは意図しているという。11月の大統領選・決選投票まで続くこの「GOP Arcade」だが、どこかのタイミングでまた新作が発表されるだろう。折をみてまたチェックしてみたい。
(文/仲田しんじ)
【参考】
・The Daily Dot
http://www.dailydot.com/geek/thoughts-and-prayers-game/
・「GOP Arcade」公式サイト
http://www.thegoparcade.com/
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