国内患者わずか約2,000人の血液がん
国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科科長の飛内賢正先生白血病のひとつで、国内の患者数わずか約2,000人の病気、「慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)」――。明確な原因がわかっていないために根治は難しく、再発するケースも多い病気です。ヤンセンファーマ株式会社は7月5日、このCLL/SLLについてのメディアセミナーを開催。国立がん研究センター中央病院血液腫瘍科科長の飛内賢正先生が講演しました。
白血病とは、血液の中にある細胞、主に白血球ががん化して増殖し、大量に血液中に流れ込む一方で、赤血球や血小板、正常な機能をもつ白血球などが減少する病気です。急速に病状が進行する「急性」とゆっくりと経過する「慢性」があり、それぞれ「骨髄性」と「リンパ性」に分類されます。
慢性リンパ性白血病(CLL)は、主に血液や骨髄で異常なBリンパ球が増殖する病気です。増える場所が異なりますが、小リンパ球性リンパ腫(SLL)もBリンパ球が増殖するため、同じ病気とみなされています。「一般的には白血病とリンパ腫は別の病気とされますが、血液がんの場合、血液や骨髄の中にがん化した細胞が出てきて、リンパ節も腫れていきます。ひとりの患者さんが白血病の様相とリンパ腫の様相の両方を持っていることがあり、一連の病気と考えられます」(飛内先生)
診断のきっかけ。その多くは「たまたま受けた血液検査」
CLL/SLL患者は50歳以上の中高年で多く見られ、男女比はおおよそ1.7対1です。日本人のCLL/SLLの発症率は10万人当たり0.2人で、米国の3.5人と約20倍の差があります。飛内先生は「明らかな人種間差がある病気。しかし、米国と日本でなぜこんなに差があるのかについては、明確にはわかっていません」と語ります。一方で、1993年〜2008年の発症率は一定に推移しており、「(食生活の欧米化などの)生活スタイルの変化はあまり関係ない」(飛内先生)といいます。
症状はだるさ、発熱、食欲不振、リンパ節の腫れなどで、病気が進行するにつれて徐々に現れますが、自覚症状に乏しく見落とされることもあります。診断される年齢はおおよそ67〜72歳で、「たまたま受けた血液検査でわかったという人が多い病気」と飛内先生。CLL/SLLが疑われた場合には血液検査、問診や触診、CTなどの検査が行われます。診断が難しいときには、さらにCLL/SLLと似た病気と区別するための検査や今後の病状を予測するための染色体検査などが行われることもあるようです。
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だるさや発熱など風邪と間違いやすい症状が現れるCLL/SLL。見過ごしてしまわぬよう、まずは定期的な健診受診を心掛けてみてはいかがでしょうか。(QLife編集部)
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