寺岡呼人&桜井和寿が『Golden Circle』で生んだ25年前と変わらぬ空気「呼人くん家のあの感じ」

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2016年07月14日 13:21  リアルサウンド

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寺岡呼人、桜井和寿

 7月5日、日本武道館にて『Golden Circle 第20回記念スペシャル 〜僕と桜井和寿のメロディー〜』が開催された。


(関連:Mr.Childrenの対バンツアーに期待すること 枯れることのない“未完の大器”はどこに向かう?


 『Golden Circle』は、寺岡呼人が主催するライブイベント。初回は2001年に渋谷 La.mamaで開催し、寺岡がリスペクトする仲井戸“CHABO”麗市らが出演。ほかにも今は亡き忌野清志郎やフジファブリックの志村正彦、寺岡がティーンエイジの頃にアイドルと崇めた松任谷由実、寺岡と親交の深い奥田民生、ゆずなど豪華出演者が名を連ねている。そして、今回出演するMr.Childrenの桜井和寿と寺岡は1991年に出会い、「寺岡呼人&ヒズフレンズ」として共にツアーを行った25年来の仲。桜井も寺岡の盟友として幾度となくイベントに出演している。桜井は2005年より小林武史と『ap bank fes』を開催しているが、そのきっかけもこの『Golden Circle』にあると公式パンフレット上で明かしていた。


 中央のステージをぐるりと囲むようにファンで埋まった武道館のステージ。寺岡と桜井が1991年、共にツアーを周った際の映像がスクリーンに映写されると、「GCバンド」と共に寺岡、桜井が盛大な拍手に迎えられステージに登場。松任谷由実、ゆず、そして寺岡、桜井での共作曲「ミュージック」でイベントの幕は開けた。「ミュージック」は、『Golden Circle』が10周年を迎えた際に誕生した楽曲であり、後にシングルとしてもリリースされた『Golden Circle』の代表曲だ。寺岡は、「おかげさまで『Golden Circle』20回目を迎えることが出来ました! 今年出会って25年で、また同じ舞台でメロディーを奏でられるっていうのは本当に幸せでございます。盟友であり、親友を紹介させて頂こうと思います! Mr.Children、桜井和寿!」と、ここで隣に立つ桜井を紹介。「『Golden Circle』、20回目なんだって。すごいよね。ちょっとしたホーム感あります」と桜井が笑顔でつぶやくと、寺岡も「中年のゆずみたいな感じですよね」と述べ会場を沸かせた。寺岡は桜井との服装に関して「『デニムにシャツ、ネルシャツってどうですか?』というのを投げたんですけど、こんなに揃うとは思いませんでした」と切り出し、しばらく談笑を続けると、我に返った桜井が「まだ1曲しかやってないんだから!」とツッコミを入れる一幕も。


 ライブに戻り、寺岡が1人でボーカルを披露したのは、自身が8月3日にリリースする新アルバム『COLOR』より、「COLOR」「もったいない」「キャッチボール」の3曲。中でも「もったいない」はMr.Childrenの楽曲「あんまり覚えてないや」のアンサーソングでもある。18回目の『Golden Circle』に出演した桜井が、寺岡に合っていると「あんまり覚えてないや」を歌うのを勧めたことをきっかけにうまれた曲だ。同じフレーズを繰り返すサビやゆったりとした曲調、両曲ともに終盤で過去を振り返る歌詞、など似通った部分が多いが、2番Bメロで歌われる<誰もがみんな憂いや後悔を連れて幸せを探して歩いていくのかな>という部分が“アンサーソング”として何とも印象的なフレーズだ。同じく、アルバムに収録している楽曲「蜜蜂」では、「丸々この人に歌ってもらいたい」と桜井を再びステージに呼び戻した。「責任重大なんだよ。いい曲なんだよ。バラードです。ラブソングです」と桜井がつぶやき、恋人が眠る様子を蜜蜂に重ねた楽曲を熱唱した。


 今回の『Golden Circle』で、GC Bandと共にゲストキーボードとして参加しているのが、シンガーソングライターのK。前々回の『Golden Circle』に出演した際に歌唱し、桜井がカラオケで歌うほど気に入ったという「dear……」は、寺岡と共に作詞した楽曲でもある。歌唱後、楽屋でKの歌声を聴いていた桜井は、「一緒に歌うのも憚れる。大好き」とKの歌声を絶賛していた。その後は、Mr.Childrenの楽曲として「妄想満月」をパフォーマンス。Mr.Childrenが2004年にリリースしたシングル『Sign』に収録された「妄想満月」は、寺岡が作曲を担当した楽曲。その始まりは、2003年に渋谷公会堂にて開催した『Golden Circle』で寺岡と桜井が2人で歌唱したものが元になっている。夜の公園で出会った女性に妄想を抱くこの楽曲を抑揚たっぷりに桜井が歌い上げると会場には拍手が起こった。


 ライブ終盤、寺岡が「思えば、25年前の1991年。彼(桜井)と楽器車に乗って、名古屋、大阪、そして最後東京と周って。25年経って、形を変えて『Golden Circle』っていうイベントになってますけど、あの時から実は僕がやってたことは『Golden Circle』なのかなって感じがして。25年前のVTRを観るとね、フィンガー5とかウィルソンピケットとかカバーばっかりやって大騒ぎしてるんです。そういうことが未だにこうやって音を鳴らせてるのが本当に幸せだなと思います」と感慨深げに振り返ると会場には温かい拍手が起こった。続けて、寺岡が「最後に、このイベントに通じるかもしれません。2回前の『Golden Circle』で作った曲をお送りしたいと思います。この曲も未来にバトンを渡せるような曲。『Golden Circle』のテーマソングにも相応しい曲じゃないかなと思います」と説明し、寺岡と桜井の共作曲「バトン」を演奏した。この曲は<どうか君に受け取って欲しい この汗まみれのバトンだけど その手を伸ばして>とサビで歌われるが、その歌詞に呼応するように会場のファンのこぶしが一斉に掲げられたのが何とも印象的であった。


 期待に満ちたアンコールに誘われメンバーがステージに再び登場すると、寺岡が「1991年、この歌から始まりました! これからも『Golden Circle』よろしくお願いします!」と会場のファンに向け叫び「星になれたら」のイントロが流れ出した。この楽曲が出来たのはMr.Childrenがデビューする前年である1991年。寺岡が作曲を担当し、Mr.Childrenがインディーズ時代から披露し続けている楽曲だ。2番Aメロからは寺岡、桜井の2人が、ステージをぐるっと周りファンとコミュニケーションを取っていく。桜井が<この風は武道館へと つながってるから>と歌詞をアレンジする場面や会場のファンにマイクを預ける場面もあった。最後に寺岡、桜井は肩を寄せ合いながら、リスペクトするかのように相手を指で刺し、大歓声の中惜しむようにしてステージを後にしていった。


 寺岡もイベント中、度々口にしていたが、Mr.Childrenのツアーやイベントへの出演、7月に宮城県石巻にて開催する『ap bank fes 2016』、ウカスカジーのツアーなど桜井は現在至極忙しいスケジュールにある。そんな中、出演した今回の『Golden Circle』では、桜井が「呼人くん家で呼人くんの友達と、ゆずの2人とで歌本見ながら歌ってる、あのリビングの感じよ」とリラックスした状態でイベントを楽しんでいる様子が見て取れた。これが25年来の2人の仲であると同時に『Golden Circle』が生み出すアットホームな空気なのだろう。桜井をゲストに迎えた『Golden Circle』は、8月2日に大阪城ホールでも開催される。そこでも、またアットホームな空気が会場を包むに違いない。


(渡辺彰浩)


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