LDL-C値高いと、心筋梗塞リスクも高く
東京医科歯科大学生命倫理研究センター・センター長の吉田雅幸先生(右)とフリーアナウンサーの政井マヤさん血液中の悪玉のLDLコレステロール(LDL-C)値が高すぎる、あるいは、善玉のHDLコレステロール値が低すぎるなど、血中の脂質の値が異常な状態を指す脂質異常症。糖尿病や高血圧と並び動脈硬化の危険因子として、その管理の重要性が高まっています。これが疑われる日本人成人の数は年々増加しており、2014年には約2400万人と推計されています。
日本動脈硬化学会とサノフィ株式会社は7月15日、都内で脂質異常症啓発イベント「Stop突然死!下げよう、悪玉コレステロール!」を開催。東京医科歯科大学生命倫理研究センター・センター長の吉田雅幸先生とフリーアナウンサーの政井マヤさんがトークセッションを行いました。
「ライフスタイルの欧米化により日本人のコレステロール値は年々上昇し、現在は米国とほぼ同じ」と吉田先生。その管理が必要である理由として、LDL-C値が高いと心筋梗塞の発症リスクが高くなることを挙げました。日本人をLDL-C値に応じて6つに分類したところ、「180mg/dL以上」の群は「100mg/dL未満」の群に比べ、5倍以上リスクが高くなるとしています。
「まずは自分のLDL-C値を知って」
「働き盛りの方が急に亡くなる、いわゆる『突然死』を防いでいきたい」と吉田先生。「痛かったり、かゆかったりすればわかるのですが、コレステロールは高くても症状がありませんので、気づくこともできません。ほっておくと、いつの間にかコレステロールが高くなり、血管が詰まって、動脈硬化、突然死を引き起こす可能性があります。それを防ぐため、とにかく自分のLDL-C値を知ってもらいたい。健診の血液検査の項目には必ず入っています」と主張しました。
動脈硬化の予防には生活習慣の改善が重要であるとし、
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- 禁煙し、受動喫煙を回避する
- 過食を抑え、標準体重を維持する
- 肉の脂身、乳製品、卵黄の摂取を抑え、魚類、大豆製品の摂取を増やす
- 野菜、果物、未精製穀類、海藻の摂取を増やす
- 食塩を多く含む食品の摂取を控える
- アルコールの過剰摂取を控える
- 有酸素運動を毎日30分以上行う
患者数30~70万人のFH、食事療法効きにくく
LDL-C値のコントロールが重要な病気としては、「家族性高コレステロール血症(FH)」もあります。健康な人では、LDL-Cは肝臓の細胞表面にあるLDL受容体というタンパク質によって細胞の中に取り込まれ、処理されるため、血液を流れるLDL-Cの量は一定に保たれていますが、FH患者では、LDL受容体の機能などに障害があり、血液中のLDL-Cの量が増加してしまいます。
FHには、その遺伝子を片親から受け継いでいる「ヘテロ型」と、両親から受け継いでいる「ホモ型」があり、ヘテロ型は200〜500人に1人、ホモ型は約100万人に1人で認められます。日本では、患者数が30〜70 万人と推計されていますが、吉田先生は「すべての患者さんを診断できているわけではないので、もっと多い可能性も」と指摘します。
FHの特徴として以下の6点があります。
- 生まれた時からLDL-C値が高い
- 家族に心臓病や高コレステロール血症の人がいる
- 食事療法が効きにくい
- アキレス腱が太い
- 動脈硬化により血管が細くなりやすい
- 若い年齢で心筋梗塞を起こしやすい
「ご家族にコレステロールが高い人、心臓病の人がいたら、『自分は大丈夫かな』と考えていただきたいですね」(吉田先生)
突然死のリスクを減らすため、まずは自分のLDL-C値を確認し、生活習慣の改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。(QLife編集部)
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