骨粗しょう症による圧迫骨折の予後をMRIで予測

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2016年07月25日 12:10  QLife(キューライフ)

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高齢者の3人に1人が罹患する骨粗しょう症による圧迫骨折

 日本では65歳以上の人口占有率が25%を超え、高齢者に多い疾患の患者数も増加の一途にあります。骨粗しょう症もその中のひとつ。骨粗しょう症は、転倒や打撲などの原因がなくても圧迫骨折(骨粗しょう症性椎体骨折)を引き起こすことがあります。骨粗しょう症性椎体骨折は70代で約20%、80代では約40%の人が罹患すると言われ、腰曲がりの原因になります。

 骨粗しょう症性椎体骨折は、通常であれば骨癒合によって治癒しますが、骨癒合できないと腰背部に強い痛みが残ります。しかし、骨癒合するかどうかの判断には3〜6か月と長い時間を要し、手術などの治療を施すタイミングを図るのが難しいことも課題となっていました。そんな骨粗しょう症性椎体骨折の予後の予測に、MRIが有効である可能性を大阪市立大学 医学研究科ら研究グループが明らかにしました。

MRIで予後不良が予測された場合はより強力な治療を検討

 研究グループは、発症から2週間以内の骨粗しょう症性椎体骨折患者153名を対象とし、MRI検査を通じて6か月以上追跡。その結果、最も治癒しやすいのはMRI検査で骨折椎体内にT2高信号(髄液と同輝度)を示しているケースであることがわかりました。次に有用なのは、T2低信号領域を広範囲に認めるケースです。特に発症してから1か月で上記のような所見を認める場合には、63%で治癒を認めました。逆に、圧迫骨折を発症してから1か月経過しても、MRIで上記の所見が認められないケースでは、11%ほどしか治癒に至りませんでした。

 骨粗しょう症性椎体骨折と診断されると、通常は2週間ほど安静にして痛みが治まったところでコルセットを装着し、骨折した椎体が癒合するのを待つ保存治療が行われます。しかし、1か月を経過しても予後不良が認められた場合は、手術を含めたより有効な治療方法を検討する必要があると研究グループは指摘しています。

 手術と聞くと心理的に不安になりますが、近年はセメントを患部に注入する低侵襲の手術も登場しています。MRIを活用することであらかじめ予後を予測し、早期に有効な治療が施されれば、高齢者のQOL(生活の質)向上につながることが期待できそうです。(QLife編集部)

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