『Mステ』初登場、Aimerの歌声はより大きなフィールドへ RADWIMPS野田プロデュース曲「蝶々結び」への期待

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2016年08月19日 17:01  リアルサウンド

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Aimer

 一度聴いた瞬間に、胸を揺さぶられる。


 Aimerがリリースした新曲「蝶々結び」は、そういうタイプの楽曲だ。誰もが目にしたことがある身近なモチーフからスケールの大きな愛の感情を浮かび上がらせる、とても感動的なバラードだ。


 楽曲提供とサウンドプロデュースを手掛けたのは野田洋次郎(RADWIMPS)。すでに先行配信の段階から話題を集めているこの曲だが、8月17日のCDリリース、そして8月19日の『ミュージックステーション』出演をきっかけに、さらに大きな反響を集めるのは間違いないだろう。


(参考:ハナレグミが映画『海よりもまだ深く』で再発見した 「音楽でずっとやりたかったこと」


 というか、この曲、数カ月とかのレベルではなく、数年、ひょっとしたら10年以上にわたって愛されていくスタンダードナンバーになるんじゃないかという予感すらある。


 <片っぽで丸を作って しっかり持ってて
 もう片っぽでその丸の後ろを ぐるっと回って>


 「蝶々結び」は、こんな歌い出しから始まる。ピアノの叙情的な響きに乗せて、Aimerの深みのある歌声が響く。曲名の通り、歌詞のほとんどは、ひもの結び方について綴られている。サビでAimerはこんな風に歌う。


<羽根は大きく 結び目は固く
なるようにきつく 結んでいてほしいの>


 なぜ、そういう曲が感動的な響きを持っているのか。それは、曲の後半で、「結ぶ」という言葉に込めた象徴的な意味合いが徐々に明らかになっていくからだ。曲のクライマックスでは、野田洋次郎とハナレグミがコーラスに参加し、Aimerは切々とした歌声を響かせる。そこではこんな言葉が歌われる。


<この蒼くて広い世界に 無数に 散らばった中から
別々に二人選んだ糸を お互いたぐり寄せ合ったんだ
結ばれたんじゃなく結んだんだ 二人で「せーの」で引っ張ったんだ
大きくも 小さくも なりすぎないように 力を込めたんだ>


 「結ばれたんじゃなく結んだんだ」という一節が、とても印象的だ。


 古くからの伝承としてよく言われる言葉に「赤い糸」というものがある。「結婚する男と女は、生まれたときからお互いの小指と小指が目に見えない『赤い糸』で結ばれている」という言い伝えだ。それと対比させてこの「蝶々結び」を聴くと、この曲の持つロマンチックな情景が鮮やかに浮かび上がる。


 つまり、愛し合う二人の出会いと縁を「結ばれた」(=運命)ではなく「結んだ」(=意志)として描くのが、この「蝶々結び」という曲の主題だ。


 ひょっとしたら10年以上にわたって愛されるスタンダードナンバーになるんじゃないかと思ったのは、きっと、この曲を結婚式で使いたい、歌いたいと思う人が沢山いるだろうから。たとえば木村カエラの「Butterfly」がそういう曲だった。そういうふうにして歌い継がれていくだけのポテンシャルを、この「蝶々結び」という曲も持っている。


 それにしても、改めて驚くのはAimerという人が持つシンガーとしてのポテンシャルだ。7月にリリースされたシングル『insane dream / us』は、ONE OK ROCKのTakaプロデュースによる「insane dream」、凛として時雨のTKがプロデュースした「us」を両A面に据えた一枚だった。


 「insane dream」はONE OK ROCKさながらのパワフルかつエモーショナルなバンドサウンドに乗せ、Aimerが真っ向から力強いヴォーカルを響かせる一曲。サウンドの強烈なヘヴィネスに全く力負けしない表現力を持った歌声が込められている。


 一方「us」は、TK from 凛として時雨名義でのソロの曲調にも通じる、繊細さとアグレッシブさを併せ持ち、壮大な世界観を感じさせる曲。突き刺さるようなハイトーンのシャウトがとても印象的だ。


 ONE OK ROCKのTaka、凛として時雨のTK、RADWIMPSの野田洋次郎と、日本のロックシーンを代表する才能とコラボレーションを果たしたことになるAimerだが、それぞれのミュージシャンも、彼女の歌声を絶賛するコメントを発表している。


「彼女の声を初めて聞いて感動したあの日からこの楽曲提供にいたるまでの間、2人で何度も試行錯誤して話し合い、セッションをして一緒に作り上げました。
このレコーディング中、彼女の歌い手としての才能に何度も驚かされながら、そしてAimerにとっても新たなチャレンジをしている楽曲になったと思います。
ただ単純にこの素晴らしいアーティストがもっとこれから世の中の人に届いて欲しいという気持ちから生まれたセッションでしたが僕自身もいい刺激を貰える素晴らしい時間でした!」Taka(ONE OK ROCK)


「声からメロディが生まれ、言葉が引き寄せられていく様な不思議な魔法を持ったAimer。まるで行き先を知っているかの様なその声に少しだけ地図を書き足して、見たことも無い場所に辿り着いてしまいました。自分の中にある、鳴らせなかった音への扉を開けてくれてありがとう。たくさんの人に届きます様に」TK(凛として時雨)


「Aimerの声をはじめて耳にしたのはもう3、4年前だと思います。たまたま知り合いからCDをもらって。声だけで、この人のことなんか好きだなと思ってしまった。レコーディング中は彼女の声を何度も聞くことができて幸せでした。そして大切なこの曲をAimerに歌ってもらえて、嬉しかった。Aimer、ありがとう」野田洋次郎(RADWIMPS)


 そして9月21日には、これらの曲が収録されたニューアルバム『daydream』もリリースされる。Takaはさらに4曲を提供、内澤崇仁(androp)やスキマスイッチらもプロデュース陣に参加した一枚だ。


 「蝶々結び」という曲、そしてAimerというシンガーの名は、これから先、より大きなフィールドに広がっていくように思う。(文=柴那典)


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  • 意外にあっさり顔出ししたのにも驚いた(でもあのメガネは‥‥��������)けど、Aimerの前にCoccoが出たのにも驚いた。10月の札幌公演が楽しみ。
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