臓器提供の意思表示率、約1割にとどまる

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2016年09月02日 12:00  QLife(キューライフ)

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意思表示カードの認知率は68.0%と高く

 2010年7月の改正臓器移植法全面施行から6年。同法の施行により、本人の意思が不明な場合は、家族の承諾で臓器提供が可能となったほか、15歳未満の脳死臓器提供もできるようになるなど、臓器提供を巡る環境の改善が進められています。この間、脳死で臓器を提供した方は306人。そのうち約74%が家族の承諾によるものでした。

 日本臓器移植ネットワークでは、10〜60代の男女3,000人を対象に「臓器提供の意思表示に関する意識調査」を実施。その結果、臓器提供意思表示カードの認知率は68.0%と高い数字だったにもかかわらず、所持率は約2割、記入率は約1割と、実際に意思を示している人は少ないことが判明しました。

 意思表示カード以外では、裏面に意思表示欄がある運転免許証で意思表示をしている人は18.9%、同様の保険証で意思表示をしている人もほぼ同じ18.3%という結果に。また、同ネットワークが開設している臓器提供登録サイトによる意思登録の認知率は9.9%で、実際に同サイトで意思を登録している人は1.9%という低い数字でした。

約4割が「意思表示をしてみたい」と回答

 意思表示カードや運転免許証などでの意思表示率は、いずれも1割台という結果でしたが、「意思表示をしている、あるいはしてみたいと考えている」と答えた人は約4割と、臓器提供に関心が低いわけではないようです。「臓器提供についてどのように考えていますか」という質問には、「脳死後でも心臓が停止した死後でも提供してもよい(63.4%)」、「心臓が停止した死後のみ提供してもよい(27.2%)」と肯定的に捉える人がいる一方、9.4%が「提供したくない」と答えています。

 また、残りの6割の人は「意思表示をしたいと思わない」、「わからない」と回答。その理由で最も多かったのが、「臓器提供意思表示に対して抵抗がある(38.6%)」。次いで「自分の意思がわからない(37.4%)」となっています。なかには、「家族が反対しそう(23.0%)」という意見もあり、臓器提供は自分だけの問題ではないことがわかります。

 しかし、「臓器提供について、家族と一度も話したことがない」と答えた人は73.7%にものぼっており、家族で話し合いの場をもつ難しさもうかがえます。また、「臓器移植医療に関する情報を十分得ていますか」との質問に、「あまりそう思わない」、「思わない」と答えた人は合わせて約8割と、情報不足を感じている模様。臓器提供は、私たちが生きてゆく上でいつか直面する可能性のある問題です。意思を表示したい人はしっかりとカードなどに記入したり、事前に家族の意見を聞いておいたりするなど、“その日”が来ても、焦らないようにしておきたいですね。(菊地 香織)

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  • 私の次女は先天性慢性腎不全。生後6ヶ月から3年間CAPDをし、余命1年宣告。私から生体腎移植して17年になる。娘のように移植で助かる命があると家族に伝え、臓器提供カードを持ち、ネットワークにも登録しました。提供の考え方は、人それぞれだと思います。
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