働き方に対する考え方が大きく変わった産後からの日々

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2016年09月21日 15:02  MAMApicks

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「〇〇につきましては、2016年9月末日をもって更新を終了することとなりました。」

そんなメールの文面とともに在宅のお仕事が一つ減ってしまった。


私は妊娠中に切迫流産の診断を受け、その月のうちにバタバタと働いていた会社を辞めた。当時はまだ妊娠2ヵ月になったばかりという頃。ギリギリまで働いて、出産早々に働き始めようという目論見はもろくも崩れ去った。

ただまあ、妊娠出産という喜ばしい出来事で、何よりもこのお腹の中の小さな命を大切にしなければならないと思っていたので、仕事を辞める決断をすることに迷いはなかった。

ところが、仕事を辞めたことに後悔の気持ちを持つのは産後半年ほどしたころだっただろうか。退職から1年以上経ち、育児はなんて孤独なものなのだと身も心も憔悴していた頃のことだ。

また働きたい、外の世界とつながりたい、子どもに振り回されない一人の時間がほしい、通勤電車にひとりで乗れる夫がうらやましい……。

それからさらに1年以上の時を経て、ようやく子連れ出勤可能な会社で働くことが決まった。「あり得ない」と思っていた働き方が現実のものとなって、私の働き方に対する考え方は大きく変わる。

ところで現在、私には収入を得る仕事がいくつかある。
出勤が必要なものがひとつと、あとは在宅での仕事がいくつか。

こう書くととても忙しそうに見えるけれど、あくまで扶養内で家事と育児が最優先という中なので、月収にしても労働時間にしても決して多くはない。月収の目標は、娘の幼稚園月謝と、自分の医療費やお小遣い程度。

在宅の仕事は、出勤中の会社からのもの、以前働いていた会社からのもの、自分で応募したものがちらほら。

そのどれもが特殊なスキルは必要なく、経験があるのかということと、「望月さんならできそうかな〜」というふんわりした感じで依頼してくれていると感じている。

この状態は、もともと狙ってこうなったというよりも、「仕事ください!何でもやります!ただし子どもいますけど。」と周囲に言い続け、今の自分にできそうな仕事を探し続けた結果だ。

「仕事と家庭と無理なくバランスよく」したい私にとって、“少ない量の仕事”が“複数の発注元”からあることはとても都合がよい。さながら銀行預金のリスク分散のようだと自分では思っている。

家庭に影響しない範囲で目標の月収をカバーできるだけの収入があればいいので、仕事量は多くなくてよいし、盆暮れ正月に代表される家族のイベントや、子どもの病気などで出勤が難しい時も、在宅の仕事でカバーできる。

小口の仕事なので発注の少ない月があっても、別の発注先の仕事を増やしたりしてカバーしてきた。とはいえ、サラリーマン時代には、こういう働き方は自分にはありえないものだったし、面倒だと考えただろうと思う。そもそも、在宅の仕事は何か特殊な技術があってスキルの高い人だけのものだという思い込みがあったからだ。

複数の取引先があるよりも、1社にフルタイムで勤務するほうが圧倒的にラクだし、独身であればそれが可能で当たり前であるため、疑問を抱いたことすらなかった。けれども出産をし、それでも働きたいと願ったときに、待機児童となってしまったわが子を抱えれば、以前と同じように働くということが叶わないのは明白であった。

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働くことは収入を得られるメリットとと同じくらい、親である私が、私自身でいられるというメリットがある。

孤独に陥りがちな幼児期までの子どもを育てる親にとって、差し迫った収入の問題がなければ、「私が、私自身でいられる」というのは最も大切なことだと言ってもいいだろう。私は仕事を得られるまでの2年近くの育児は人生で最もつらい時期だった。

見かねた夫から、気分転換で外出をすすめられても、それが終わればまた夕方から子どもと向き合う日々が待っている、という日曜日のような感覚。そして帰宅すれば、むしろ慣れない育児で疲弊した夫と、ギャン泣きの我が子が待っているという予感も……。

経済的には1馬力に減り、扶養家族が2人も増えたのに、私の“癒し”などという目に見えないもののためにお金を使うという罪悪感。同じような理由で、2年ほど髪を切りに行くことすらためらっていた。

とにかく自分が透明な箱の中に閉じ込められているような閉塞感、どう説明していいのかわからない孤独感に押しつぶされそうな ≪いや、つぶれていた≫ 日々だった。


働き始めたことで、すべてが好転したかといえばそうではなく、働き始めは少ない仕事でも家事とのバランスを取ることに苦心したし、仕事中の子どもからのかまって攻撃が落ち着くまでは、思い通りに仕事が捗らないこともあり、それはそれでストレスとなった。

変化の道半ばというのは苦労がつきものだが、多くのことは続けて行くことで緩和されて、それと引き換えに閉塞感や孤独感は薄らいで行った。しばらく続けていると、仕事と家事のバランスにも慣れ、1日の生活サイクルの中にうまく組み込まれるようになった。

娘も、私が「お仕事中」というと察してくれるどころが、今となってはPCに向かっていればしつこく絡んでくることもない。ただし、「〇時になったら絵本を読んであげるね」「お仕事が終わったらお散歩に行こうね」という約束をし、絶対にその約束を守ることだけは心掛けている


いいペースで生活できるようになった今、託児付きの美容室で髪を切る自由、大人と育児以外の話ができる気分転換の環境などを手に入れ、透明な箱の中に閉じ込められているような閉塞感や、どう説明していいのかわからない孤独感を感じることはだいぶ少なくなった。

こんな今があるのは、子どもがいるから働くなんて無理と思いつつも、何とか現状打破をしたくて、自分にできることはないかを必死に探した結果だ。

ダメ元で仕事を探し始めた当初の目標は「自分の携帯代5,000円/月を稼ぐ」というものであった。小さな目標額だが、私にとって、そして娘や夫にとっては大きな前進となった。

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「〇〇につきましては、2016年9月末日をもって更新を終了することとなりました。」

そんなメールの文面とともに、在宅のお仕事がひとつ減ってしまったわけだが、“少ない量の仕事”のメリットのひとつに、比較的求人が多くあるということもわかった。ママ向けの在宅ワーク募集サイトなどにはそんな仕事がたくさんある。

だから今度は10月までに、スキルのない子持ちの私でもできる仕事を探してみようと思う。

望月 町子
リクルートや大手飲食チェーンでマーケティング職を経験。切迫流産の診断を受けたことで妊娠初期に会社を辞めるも、産後は子どもが1歳半になったころから“子連れ出勤”を開始、日々をブログ「1歳からの子連れ出勤」に綴る。夫と3歳になる娘の3人暮らし。

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