65歳以上の17.8%が低栄養の傾向
画像はリリースより急速な高齢化が進む中、問題になりつつあるのが「低栄養」。低栄養とは、健康な体を維持・活動するのに必要な、エネルギーやたんぱく質などの栄養素が足りない状態です。厚生労働省の「国民健康・栄養調査(平成26年)」では、65歳以上の17.8%、80歳以上の4〜5人に1人が低栄養の傾向にあるとされています。トレンダーズ株式会社の研究機関「トレンド総研」が、70歳以上の高齢者の男女300名と、高齢者と同居する40〜60代女性300名を対象に、高齢者の「低栄養」に関する意識・実態を調査しました。
まず、70歳を過ぎてからの食事の量や内容に変化について、高齢者に尋ねたところ、変化があったと回答したのは60.0%。変化の内容は「食事の量が減った」が76.0%で最も多く、次いで「野菜を中心に食べるようになった」が49.0%、「肉をあまり食べなくなった」25.0%、「食事を残すことが増えた」12.0%、「食事が面倒に感じるようになった」が10.0%でした。
次に高齢者に食事を提供している家族に食事メニューに気をつかっているか質問したところ、71.0%が「気をつかっている」と回答。高齢者の食事が介護や寝たきりなどのリスクへのかかわりがあるかについては、79.0%が「かかわりがあると思う」と答えており、食事が高齢者の健康と深く関わっていると認識している家族が多いことが伺えます。
食事量や体重の減少に気づいたら専門スタッフに相談を
低栄養は高齢者の認知症の進行や介護や寝たきりのリスクとされ、その認識は極めて重要といえます。しかし、今回の調査では、「低栄養」を知っていた人は高齢者自身でわずか21.0%、高齢者の家族でも37.0%にとどまるという結果に。低栄養はまだまだ認識されていないのが現状です。その一方、自身が低栄養であると11.0%の高齢者が回答しており、およそ1割の人は低栄養であると自覚していることがわかりました。
高齢者が低栄養に陥りやすくなる理由は、1人で買い物に行けない、1人で料理ができない、冷蔵庫に食べものを取りに行くのが億劫など生活能力の低下や、病気による食事量の低下、さらに薬の副作用による食欲不振などさまざま。また、男性の一人暮らしの高齢者が最も低栄養に陥りやすいとされていますが、家族と同居しているケースでも食事量や体重が減るのは「年をとれば、それが普通」と、見逃されることも。高齢者と一緒に暮らしている家族は、食事量や体重の減少に気がついたら、早めに医師・保健師・管理栄養士などの専門スタッフに相談するのが良いでしょう。(樹本睦美)
|
|
関連リンク
⇒元の記事を読む