100倍の発電量&10倍の蓄電性能!新型シリコン熱光発電電池が発明され、商業化も検討中

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2016年11月04日 06:51  Techable

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限りある地球資源を有効に使い、自然環境を守ろうという観点から、再生可能なエネルギーに注目が集まっている。

その代表格といえばやはり太陽光発電だ。集めた太陽光を、効率的に蓄電しておく仕組は重要だ。
・従来比10倍の蓄電性能を誇る“熱光発電電池”
スペインのUniversidad Polytechnic de Madrid (UPM) のチームが研究しているのが、既存の熱エネルギー蓄電システムに替わる、“溶融シリコン”をつかったシステム。約10倍の蓄電性能を発揮するため、都市部の新世代のソーラーエネルギーシステムとして注目を浴びている。

太陽光や風などの再生可能エネルギーにより生み出された余剰分のエネルギーは、雨や無風のときなど、必要に応じて引き出して使える仕組みが必要だ。既存の方法としては、これらの余剰分のエネルギーを貯蓄しておくため、“太陽熱エネルギー”を“溶融塩(カリウム、カルシウム、硝酸ナトリウムなど)”の形状で溜めておき、熱ジェネレーターを通じて熱を電気に変換していた。

ただ、塩を基盤としたこのシステムは、働きは悪くないものの、複雑なポンプやパイプライン構造、熱変換流動体などが必要で、非常にコストがかかる上、繊細な取り扱いが必要だった。また塩は、地球上に潤沢にある物質でもない。
・地球上に豊富に存在するシリコンを活用
そこで研究チームが着目したのが、地球上で酸素の次に豊富に存在するシリコンの存在。太陽光という再生可能なエネルギーを使って発生した余剰分の電力は、コンテナ内に配置された熱されたシリコンに溜められる。

この“溶融シリコン”の温度は約1400℃にまで達し、熱エネルギーが電気エネルギーへと変換される。シリコンの特性のおかげで、1立方メートルあたり1メガワット(時)ものエネルギーを貯蓄できるというからすごい。これは塩基盤のものと比較すると、10倍もの蓄電効率となる。
・光と熱を電気エネルギーに
チームリーダーのAlejandro Datas氏によると、この“熱光発電電池”の新技術は、太陽が高温になると発光するのと同様、シリコンも同じように光り輝き、“熱光発電”によって放たれた光を電力に変換するという。

変換効率は50%以上を達成し、従来のソーラーセルと比較すると100倍の効率性になる。
・商業化へ向けプロジェクト立ち上げ
チームでは今後商業化を検討しており、「SILSTORE」というプロジェクトを立ち上げて、出資を募集する予定だ。

とにかく地球上に潤沢に存在するシリコンを使うことで、ローコストで、より安全に効率的に電気エネルギーを貯蓄できる仕組みが実現すれば、私たちの生活に大きな変革をもたらすことになるだろう。期待して待ちたい。

Universidad Polytechnic de Madrid (UPM)

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