糖尿病の眼の合併症で失明する前に、正しく知って、しっかり治療

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2016年11月08日 12:00  QLife(キューライフ)

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糖尿病の三大合併症のひとつ、網膜症による失明を防ぐには?

山形大学大学院 医学系研究科 公衆衛生学講座 准教授 川崎良先生

 11月14日は世界糖尿病デー。2016年は「糖尿病を見る目」をテーマに、糖尿病患者さんに対するケアに糖尿病合併症のスクリーニングを含めることの重要性を強調しています。合併症のなかでも注目されているのが、眼の合併症である糖尿病網膜症です。世界糖尿病デーに向け、バイエル薬品株式会社はプレスセミナーを11月2日に開催。山形大学大学院医学系研究科公衆衛生学講座准教授の川崎良先生による講演が行われ、併せて同社グループで支援した国際調査結果の一部が紹介されました。

 糖尿病網膜症は、初期には自覚症状がありません。発症の原因は、糖尿病によって血糖値の高い状態が続き網膜の細かい血管が傷ついたり詰まったりすること。ゆがんで見える、片目が見えないといった自覚症状が出てきたころには、かなり病状が進行しています。進行した網膜症は、レーザー光凝固術や硝子体手術による治療が行われますが、治療の目標は「視力の維持」。一度失った視力は元に戻りません。症状が出る前に、できるだけ軽症のうちに治療を始めることが大切です。糖尿病網膜症は、日本で視覚障害者の認定をうける原因となった病気の第2位で、仕事をしている中高年では第1位に挙げられ、視力を失う大きな原因となっています。糖尿病を発症しても治療をしていなかったり、血糖値をきちんとコントロールできなかったりする場合、数年で糖尿病網膜症を発症するといわれています。糖尿病患者さんのおよそ4人に1人が網膜症をもって暮らしていると考えられているのです。

合併症をわかっていても、眼科受診に結びつかない現状が浮き彫りに


糖尿病患者さんの合併症に関する認知度

 糖尿病網膜症を発症しやすいのは、血糖値が高く、糖尿病歴が長く、血圧が高い人です。今回、結果の一部が発表された調査によると、糖尿病患者さんの82%は、合併症である網膜症を知っており、44%が懸念を抱いていると報告されており、糖尿病合併症としての網膜症の存在はすでに認知されていることがわかりました。その一方で、糖尿病患者さんの4割は網膜症のための検査を受けておらず、検査を受けた患者さんでも、推奨されている1年に1度の眼科検診を受けていたのは2人に1人の割合でした。さらに、糖尿病で通院している医院で、医師に眼に関する相談をしたことがある患者さんは84%と多かったものの、相談頻度は年に数回と、決して多くはないという結果でした。

 糖尿病網膜症で失明しないために必要なのは、「予防」「早期発見」「適時治療」だと川崎先生。網膜症を発症すると、車の運転ができなくなったり、パソコン画面が見づらくなったりと、仕事や生活へ支障が出てしまいます。早い段階で網膜の異常を発見できれば、網膜症にならずに済むかもしれませんし、たとえ発症していても進行を遅らせることができるかもしれません。糖尿病と診断されたら、血糖値に加え血圧や脂質のコントロールをしっかり行うのはもちろん、自覚症状がなくても、1年に1回は眼科で検査を受けることを忘れないようにしたいものですね。(QLife編集部)

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  • 自分は子供から太ってるけど、糖尿だけは気をつけてたな。特にジュースはできるだけ飲まないようにした。子供の当時から多かったからね。太ってる人より、痩せてる糖尿の方が重症に
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