メタボのリスク、「噛む力」で判定可能に?

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2016年11月25日 18:01  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

近年、注目される口腔健康とメタボとの関係


画像はリリースより

 すっかり定着した「メタボ」という言葉。おさらいすると、「メタボリックシンドローム」を省略したもので、内臓脂肪型肥満に、高血圧・高血糖・脂質異常症のうち2つ以上を併発している状態を指します。腹囲も診断基準となり、男性は85cm以上、女性は90cm以上が目安。診断基準には達しないものの、減量によってリスクが改善する肥満を「メタボリックシンドローム予備軍」とも呼んでおり、メタボに移行しないように生活習慣の改善を促す必要があるとされています。

 メタボは見た目の問題だけではなく、生活習慣病につながる可能性のある“黄色信号”。また、脳卒中や心筋梗塞など命の危険にさらされる疾患にもつながる恐れもあります。問診や腹囲などの身体測定、血液検査などを行う「特定健診制度」といった予防策も講じられていますが、十分に効果が上がっているとは言えないのが現状です。

 そこで、近年、口腔健康とメタボとの関係が注目されていることから、新潟大学、大阪大学、国立循環器病研究センターが共同で、口腔健康の観点からメタボにアプローチ。住民台帳から無作為に抽出した都市部に住む50〜70代の住民1,708人を対象に基本健診と歯科検診を実施しました。

咀嚼能率低下群で、メタボは1.46倍に

 今回の研究では、どのくらい効率よく咀嚼を行なうことができているかを表す「咀嚼能率」を測定。専用に開発したグミゼリーを使用し、30回噛んだ後、増えた表面積を算出し、年齢や性別、飲酒、喫煙、歯周病などを調整した多変量解析を行って、咀嚼能率とメタボ罹患率との関連性を調べました。

 その結果、対象者を咀嚼能率によって4群に分けたところ、対象者全体では、最も能率が高い群と比較して、下から2番目の群でメタボ有病率が1.46倍高い結果となりました。対象者を70代に限定すると、咀嚼能率が低下した全ての群でメタボ有病率が1.67〜1.90倍高いこともわかり、咀嚼能率の低下とメタボとの間に関係があることが、世界で初めて明らかになりました。

 この研究の成果により、咀嚼能率を測定することで、将来的にメタボのリスクが評価できる可能性が示されました。また、脳卒中や心筋梗塞などの「動脈硬化性疾患」予防において、新しい医科歯科連携の戦略に繋がることも期待されます。メタボを防ぐためだけではなく、噛むことは健康にとって大切なこと。日頃の食事でよく噛むことを心掛け、「健康寿命」を伸ばしたいものですね。(菊地 香織)

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