かかりつけの婦人科医と、賢く月経マネジメントを
左から、ドイツ・バイエル社 マイケル・デヴォイさん、 バーゼル大学病院産婦人科 ヨハネス・ビッツァー教授、 聖路加国際病院副院長 百枝幹雄先生、 産婦人科医 宋美玄先生
バイエル薬品株式会社は11月22日、都内で「ヘルスリテラシーサミット2016」を開催。「女性が輝くための月経マネジメント〜ウィメンズヘルスケアにおけるホルモン治療のトレンド」と題して、ドイツ・バイエル社のマイケル・デヴォイさん、バーゼル大学病院産婦人科のヨハネス・ビッツァー教授、聖路加国際病院副院長の百枝幹雄先生、産婦人科医の宋美玄先生が講演しました。
同社が2011年に日本で行った調査では、女性の74%が月経に伴うなんらかの症状(月経随伴症状)を抱えており、月経のある女性の50.4%が生理痛を訴えていることがわかっています。月経随伴症状とは、月経困難症、過多月経、月経前症候群(PMS)の総称。月経随伴症状が仕事に影響していると自覚しているのは、月経のある女性の17.2%。その年間の社会経済学負担は6828億円で、そのうち72%(4991億円)は労働損失であると推計されてます。これほどまでに月経に関する問題がありふれているにもかかわらず、月経のある女性の婦人科受診率は20.4%と低く、「受診する必要性がない」「嫌悪感あるいは抵抗感(がある)」と考える女性が多いそうです。
体質だからと放置していると、重症化する場合も
月経随伴症状の背景には、子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫などの疾患が隠れていることがあります。特に、子宮内膜症は過多月経や生理痛だけでなく、妊娠しにくくなるなど女性の生活に大きな影響を与え、進行すると手術が必要になる病気です。しかし子宮内膜症は、目立った初期症状がなく、発症から診断までに時間がかかります。また、10代の頃からつらい生理痛があると、後に子宮内膜症と診断されるリスクが高いといわれています。「もともと生理痛が強い体質だから」と放置していると、いざ妊娠を希望してもなかなか妊娠しないという事態になることもあるそうです。
子宮内膜症のリスクは、初潮から第一子出産までの期間が長ければ長いほど高くなります。晩婚化、晩産化が進む中で、今後さらに子宮内膜症患者が増えていくと見込まれています。婦人科受診率が低いことの背景には、月経に関する理解が十分でないことが考えられるといいます。こうした現状に危機感を抱いた百枝先生ら産婦人科医が中心となり、2012年に日本子宮内膜症啓発会議(JECIE)を発足し、月経に関する啓発活動を行っています。
JECIEの一員でもある宋美玄先生は、SNSなどで出回っている“月経マユツバ情報”を取り上げながら、正しい知識があれば、マユツバ情報だけでなく、月経そのものにも振り回されずに生活することができると、自身の体験も交えて紹介。正常な月経とは、25〜38日周期で、生理の期間は3〜7日間、1回の生理での総経血量は20〜40ミリリットル。心配なことがあったり、月経異常が3か月以上続いていたりするなら、婦人科医に相談するようにと呼びかけました。自身も月経困難症だったという宋先生は、薬物治療で月経に悩まされることが少なくなったそうです。「病気ではない、体質なんだ」と思い込まずに、月経で困っているのなら、かかりつけの婦人科を持っておきたいものですね。(QLife編集部)
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