行政からの支援、8割以上のケアマネは「感じられず」

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2016年12月08日 12:01  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

病院との情報共有へ、支援求める


画像はリリースより

 介護が必要となった際、お世話になるのが「ケアマネジャー(介護支援専門員)」です。2000年に「介護保険制度」が導入されたのを機にできた資格で、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターなどに在籍し、要介護者が住宅や施設で適切な介護サービスを受けられるよう「ケアプラン」を作成したり、医療機関との調整を行ったりするなど、重要な役割を担っています。

 2016年11月に行われた厚生労働省の介護保険部会では、在宅医療・介護の連携等の推進のため、行政によるバックアップを充実していく方向性が確認されたばかりですが、株式会社エス・エム・エスがケアマネ604人を対象に実施した調査の結果、8割以上のケアマネが「行政からのバックアップを感じていない」と回答しており、不十分な現状が明らかになりました。

 ケアマネが行政に期待するバックアップとして、最も多かったのが「医療・介護関係者の情報共有の支援」。ケアマネにとって、利用者の入退院時における医療機関との情報共有が、その後の自立支援業務において大変重要となります。そのため、医療・介護に関わる者同士が利用者に対して共通の理解を得られるよう支援することが、行政には求められます。

在宅医療との連携推進にも課題

 医療機関との情報共有に関して、ケアマネが最も連携を取りやすい相手として挙げたのが、ソーシャルワーカー(社会福祉士)です。より専門性の高い「医療ソーシャルワーカー」を配置している医療機関も増え、介護と医療をつなぐ“パイプ役”として利用者の力になる存在です。一方、最も連携を取りにくい相手として挙げられたのが、医師。忙しすぎて連絡が取れなかったり、介護保険の理解が得られていなかったりという、“すれちがい”があるようです。

 また、「現場における在宅医療・介護の連携が推進されていない」と感じているケアマネは48%と半数に近く、ここでも連携の難しさが課題になっています。現場からは、「医師によって在宅医療に協力的かどうかかなり違う」、「往診医が不足しているため、在宅医療が促進されても結局病院に戻ってしまう」といった声のほか、「ケアマネがもっと医療を勉強すべき」といった声も聞かれ、どちらかだけで解決できる問題ではないことがわかります。

 高齢化が進むなか、ケアマネは「介護が必要な人に適切な介護サービスを提供する」という、高齢者が生きて行く上で重要な仕事を担っています。医療側だけでなく、介護側の当事者が積極的に連携を図ると共に、行政も情報共有の支援を中心としたバックアップを充実させることで、連携推進に向けた“車輪”がバランスよく回り出すのではないでしょうか。(菊地 香織)

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