武蔵小杉は住みたい街界のPPAP!? ピースでポップでアートでプライスレスな街“ムサコ”を徹底解剖

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2016年12月16日 10:02  MAMApicks

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南北に細長く、“足”のような地形が特徴の神奈川県川崎市。その川崎のサウスサイドに住み続けて40年。

名刺交換で、「あ、川崎なんですか? 私もです!」と声をかけてくださる人がいる。しかしよく聞けばその人の「川崎」とは、「武蔵小杉」だったり「武蔵溝ノ口」だったりするのだ。うううう。違う、そっちの川崎ではない!!

川崎の南側に住む人間にとって、「武蔵小杉」というのは憧れとちょっぴりの妬みと、なんというかコンプレックスをギリギリと刺激する町である。高校時代、武蔵小杉、通称「ムサコ」周辺に住んでいた友だちのなんとあか抜けていたことか。

ムサコの子たちは当たり前のように渋谷に行く。渋谷ですよ渋谷! 東横線というシャレオツな電車で、代官山とか渋谷とか一本で行けてしまう。当時、サウスサイドJKにとって渋谷はニューヨークと同じくらい遠かったものだ。

そんな武蔵小杉が最近さらにパワーアップしている。ちょっとやめてよ〜これ以上サウスサイドと差つけないで〜。折も引っ越しシーズン間近。最近「川崎への引っ越しを考えてるんだけど、武蔵小杉ってどう?」と聞かれることが多くなった私は、川崎の達人としてひとつ重い腰を上げることにした。

武蔵小杉とはいかなる街なのか。本当に住みやすいのか。それは私が長年こじらせてきた“ムサコンプレックス”を成仏させる意味もある。


まずはこちらのデータをご覧いただきたい。マンション検索サイトを運営する「マーキュリー」のマンション相場ランキング。栄えある第一位に輝いたのがなんと武蔵小杉。人気があるあるとは聞いていたが、まさかここまでだったとは……!
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000018769.html

さらにリクルート社「SUUMO」の住みたい街ランキングでは、あの恵比寿パイセン、吉祥寺師匠などに続く第4位。驚くべきは、住みたい街ランキングの古豪、自由が丘御大を抑えての4位ということである。武蔵小杉……いや武蔵小杉兄さん……もうスゴすぎて気安く呼び捨てにもできやしない。
https://suumo.jp/edit/sumi_machi/2016/kanto/

世界のあらゆる街へ足を運び、都市構造や都市デザインの観点から街を研究してきた、筑波大の渡和由(わたり かずよし)准教授によると、住みやすい街のポイントとはズバリ“コンパクトシティ”。

渡先生がいう“コンパクトシティ”とは≪公共交通機関の利用や徒歩で移動できるように都市全体をコンパクトに構成、伝統的なコミュニティの住環境要素を再生するという考え方≫で、アメリカ・オレゴン州にあるポートランドがそのお手本とのこと。

一方日本でも、≪少子高齢化の影響で近年コンパクトシティ的な街づくりを推進する自治体が増えて≫きており、そんな日本型コンパクトシティの代表が、住みたい街ランキングの絶対王者たる吉祥寺、というわけだ。

そしてここからが本題、吉祥寺師匠を猛追する気鋭・武蔵小杉もまた、≪駅から半径約400m圏内に多様な商業集積地があり、800mの範囲に住宅、学校、病院などがある。それらを取り囲むように、多摩川、等々力緑地、二ヶ領用水というアーバンネーチャーが1マイル(約1600m)の範囲内にある≫立派なコンパクトシティだというのである。

武蔵小杉というと近年は急激な高層マンション化のイメージがあるが、街を散策すると意外なほどのんびりしていることに気づく。昔ながらの商店街があり、古い路地があり、かわいい雑貨屋さんや渋い飲み屋も混在する。

言われてみれば、たしかに吉祥寺のハモニカ横丁に似ているかも。少し歩けば多摩川があり、Jリーグ・川崎フロンターレが本拠地とする等々力スタジアムがあり、博物館と美術館の複合文化施設である川崎市市民ミュージアムがあるのも武蔵小杉を擁する中原区だ。

なんというか、衣・食・住が、オールドとニューが“ちょうどいい”バランスで共存している。だから居心地がいい。

そしてこちらもあまり知られていないが、川崎市には1,000を超える地元農家があり、地産地消を目指して日々奮闘している。地野菜の「のらぼう菜」をはじめとする農産物は「かわさきそだち」としてブランド化されており、月に一度、「武蔵小杉駅マルシェ カワサキノメグミ」で気軽に購入可能。同じ「かわさきそだち」(こちとら40年選手)でもエライ違い……。

そうそう、駅前の「COSUGI CAFE」では、そんな川崎野菜を使ったサラダや、地元の卵を使った「もりもり卵のプリン」、川崎産のクラフトビールも堪能できるそう。キッズスペースやワークショップも充実していて、子連れママパパに人気なのも頷けますわな。

交通利便性が高いから、平日はらくらく出勤、そして休日はショッピングを楽しんだり、多摩川を散策したり、フロンターレを応援したり……街全体がゆるやかで、ほんわかとしたつながりで結ばれる。

渡先生のお言葉を借りれば「シビックプライド(=都市や地域に対する誇りや愛着、帰属意識)」ってやつ。知れば知るほど、その魅力に納得せざるをえない、武蔵小杉……いや武蔵小杉兄さん。

どうか未来を担う川崎っ子たちのシビックプライドを歪ませることなくすくすく伸ばし、武蔵小杉から川崎を変えていってほしいと願うばかり。あぁちょっと私もムサコへの引っ越し、考えてみよっかなぁ……。

西澤 千央(にしざわ ちひろ)
フリーランスライター。二児(男児)の母であるが、実家が近いのをいいことに母親仕事は手抜き気味。「散歩の達人」(交通新聞社) 「QuickJapan」(太田出版)「サイゾーウーマン」などで執筆中。

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  • 小杉だ。前は小杉に住んでたのに海外転勤の間にタワーマンション立ったりして周辺も家賃が高くなり住めなかったといってたママさんがいた。
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